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マクスプランク研究所、マイクロコスモへの新しいゲートウエイ

May, 11, 2015, Munich--LMUミュンヘンとマクスプランク量子光学研究所(Max Planck Institute of Quantum Optics)が共同運営しているアト秒物理学研究所(LAP)の研究チームは、オプトエレクトロニクスの時代を引き寄せる新しい光源を開発した。
 短パルス、高強度レーザ光を利用することで原子核の外側の粒子の動きの観察と制御は大きく前進した。エレクトロニクスの将来は、電子流を光で制御することにある。これにより、データ処理操作は光の振動に匹敵する周波数で行わせるようになり、現状の技術よりも10万倍高速になる。この目標に到達するには、レーザ技術の進歩が不可欠である。
 研究室で用いられているほとんどのレーザはTi:Sapphire結晶をベースにしており、この種の測定装置は20年以上前から超短パルス生成で主要な手段となっている。しかしこうした状況は近々変わりそうである。薄型ディスクレーザシステムが間もなく、ロッド状あるいはスラブ状の結晶に取って代わるからである。LAPの研究チームは、Yb-YAGディスクレーザを発表した。この装置は、7.7fsのパルスを生成する。平均パルス出力は6W、個々のパルスエネルギーは0.15µJ、市販のTi:Sapphireレーザで達成できるよりも1.5桁大きい。
 研究チームは、すでに出力パルスの波形を極めて正確に制御できるようになっているが、この新しいシステムの能力はさらに拡大する。凝縮物質や単一原子における電子流のスイッチングでそれらを利用する際には、光波の電磁場の時間形状を精巧に制御することが不可欠。さらに、パルス幅は数fsでなければならない。LAPでチームが行った以前の実験では、特殊形状の電磁波パケット、つまり位相制御のレーザパルスを利用して電流のON/OFFができることを示した。しかし、これらの実験で達成した最大スイッチングレートは数1000/secオーダーであった。
 この限界は今、見事に破られた。新しいレーザは1秒に数千万の高出力パルスを生成できる。これは超高速物理過程の研究新時代の先駆けとなる。この分野は、分子や原子の電子運動などの現象に焦点を当てている。このような運動はアト秒の時間スケールで起こる。アト秒レーザパルスを生成できることによって効果的に電子運動を「写真」撮影することができる。新しいレーザが出てきたことで、原子写真撮影は新しいフェーズに入る。現在アト秒研究所で使用されているTi:Saシステムで小宇宙の珍しい出来事を解析するには、完璧に捉えようとすると、何時間も、あるいは何日も観察しなければならない。新しい装置は、データアクイジションレートを1000~100000倍改善するので、そのような現象の研究は遙かに少ない時間で、一段と詳細に行うことが可能になる。
 この新しい世代のレーザは、自然現象の根底にある基本プロセスの研究にも使用できる。新しいツールは間もなく、波長60nm、スペクトルのEUVセグメントで、高エネルギーのパルスを生成できるようになる。そのようなパルスは、ヘリウムネオンの励起に十分なエネルギーであり、これによって関連放射の周波数が周波数コム技術で精密制御できるようになる。この種のレーザ分光学は、自然の定数を超精密に測定する手段となる。
 薄型ディスクレーザは間もなく、アト秒物理学やレーザ分光学の基礎研究にとって装置の標準品目になる。