April, 30, 2015, Lausanne--世界最小の分光計で地球の地殻の1㎜オーダーの微小な歪みを1000km長にわたり測定することに成功した。地球科学研究所(CNRS/Université Joseph Fourier/IRD/IFSTTAR/Université de Savoie)とグルノーブル惑星学・天体物理学研究所の研究チームは、SWIFTS(定在波集積フーリエ変換)分光計を使って、まだよく分かっていなかった動きを検出した。
地震は、地殻の変形現象というだけでない。もっとゆっくりとした、より連続的な変形、例えば地球潮汐あるいはスロー地震は、大規模なGPSや地震計では検出が難しいことがある。研究チームは、このような微小な動きを見分けるために、SWIFTS分光計の能力をテストした。
低雑音地下研究所:Low Noise Underground Laboratory (CNRS/Université de Nice/Université d’Avignon)での計測の結果、このシステムは1ppbの分解能で、地球潮汐によって起こる変形を計測できた。また、2014年チリのIquique地震からの信号も計測した。
このシステムは、ファイバを伝搬し、2つのFP干渉計(それぞれ2つのブラッググレーティングでできている)によって反射される白色光を用いることで機能する。ブラッググレーティングは、光ファイバ内のマイクロミラーであり、UV光で作製する。この一連の反射は特定の波長をSWIFTSに返すだけである。すると干渉計が2つのミラーの相対位置をナノメートルレベルで瞬時に測定し、これによって歪の範囲の評価ができる。
SWIFTS分光計は、グルノーブルのヨゼフフーリエ大学の研究成果をベースに設立されたスタートアップ、Resolution Spectra Systemが開発した。極小サイズ30×1.5×1.5㎜であるので、マッチ箱程度の測定器となる。究極的には、テクトニック活動、火山活動の領域でセンサネットワークを設置することが可能になる。1999年トルコのEzmit地震、2011年日本の東北沖地震で、本震前にゆっくりとした先行的な断層変位の存在が明らかになっている。これは正にSWIFTSが計測できるタイプの現象であり、SWIFTSはそのような自然災害の開始予測に貢献できる。