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顕微鏡画像の精度を高めるスマート分子

March, 13, 2026, Gothenburg--チャルマーズ工科大学(Chalmers University of Technology)他、4大学協働で、高価な顕微鏡機器を使わずに高解像度画像を実現した。EU資金提供のプロジェクト「4 for 2」の目的は、細胞標識用の新しいスマート分子を開発し、より単純な顕微鏡からの光をより効率的に利用できるようにすることだった。3年後、結果を見直す時が来た。

多光子(マルチフォトン)顕微鏡は、細胞や組織を研究するために生物医学研究で用いられている。現在、いわゆる二光子顕微鏡は細胞内のプロセスの研究に用いられているが、画像解像度の面で限界がある。

4光子顕微鏡はより高解像度の画像を提供する。しかし、このような機器は非常に高価であり、生物材料の研究に必要な強力なレーザ光がサンプルを損傷させることがある。

「このプロジェクトでは、より一般的な二光子顕微鏡技術を用いて分子レベルの詳細とモニタリングプロセスを可視化する分子を開発した。これらの分子は、二光子顕微鏡が使われているものの、四光子顕微鏡よりも高い分解能を達成する能力を持っている」と、Chalmers University of Technology化学・化学工学科教授のプロジェクトコーディネータ、Joakim Andréassonは語っている。

同教授は、さらにこう続けている。

「長期的には、この種の研究結果は、病気や医薬品、そして生命の最小の構成要素について新たな洞察をもたらすかも知れない。」

解像度は2倍
研究チームは、蛍光染料と分子フォトスイッチと呼ばれる分子を結合させることで分子を合成した。分子は照射されると性質が変化する小分子。この組み合わせを用いて解像度の向上が可能であることを実証するというアイデアがあった。

これらの分子で染色された細胞サンプルを二光子顕微鏡で調べると、分子は四光子顕微鏡で照射されたかのように振る舞い、後者の技術に比べて2倍の解像度を達成する。

「最近Nature Communicationsに発表された研究では、分子が二光子顕微鏡を用いても四光子挙動を示すことが示された。特に生きた細胞のような生物学的に重要な環境での研究においては、この技術を最適化するためにさらなる研究が必要になる」とJoakim Andréassonは語っている。

幅広い専門知識はプロジェクトの成功の大きな要因
「4 for 2」プロジェクトは、EU Pathfinder Open initiativeから3年間で230万ユーロの資金が授与された。このプロジェクトは、Chalmers University of Technology, the University of Gothenburg, ベルギーのKU Leuven およびスペインの University of Huelvaの4大学の共同プロジェクト。Joakim Andréassonは、有機化学、分光学、光物理学から化学生物学に至るまで幅広い専門知識を活かしたプロジェクトを、その主要な強みであり成功の大きな要因としている。

「多額のプロジェクト資金により、時間的制約なく高品質な成果を確保することに集中する機会も得た。専任のスタッフを採用し、研究に必要な時間を確保することができた。プロジェクトが終了に近づく今、助成金提案で約束したことの実行で大きな成功を収め、将来の研究のための追加成果も生み出していることが分かる。もちろん、これは継続的な資金調達によって促進されることになる。現在、われわれは積極的に資金調達を模索している」とJoakim Andréassonはコメントしている。