Science/Research 詳細

ナノアンテナによる円偏光制御と計測手法の開発
シリコンナノ粒子近傍の円偏光特性を解明

March, 3, 2026, 神戸--戸大学大学院工学研究科のモジタバ・カリミ・ハビル研究員、杉本泰准教授、藤井稔教授らの研究グループは、ナノサイズのシリコンからなる光アンテナ近傍に形成される光の円偏光特性を制御するとともに、その円偏光特性を実験的に計測する新しい方法を開発した。
光アンテナにより形成されたナノスケールの光場では、光の強度だけでなく、円偏光の回転方向(ヘリシティ)が局所的に大きく変化し、これにより光と物質の相互作用の状態が大きく変化する。しかし、これまでアンテナ近傍における円偏光の空間分布を制御し、かつ実験的に計測することは極めて困難だった。

研究では、ナノ構造近傍における光のヘリシティを制御可能な光アンテナ設計と、その円偏光特性を直接評価する計測手法を確立した。この技術は、円偏光に敏感な光と物質相互作用をナノスケールで理解・制御するための基盤技術となるものであり、創薬分野における鏡像異性体(エナンチオマー)の識別や、円偏光によって誘起される新しい化学反応の開拓などへの応用が期待される。

この研究成果は、2月24日に国際科学誌「ACS Photonics」に掲載された。

ポイント
・シリコンのナノ粒子からなる光アンテナにより、局所的な円偏光のヘリシティ(Helicity)を制御できることを示した。
・光アンテナ近傍の円偏光特性について、二次元材料の円偏光選択ラマン信号を活用したナノスケール計測法を開発した。
・この技術は、創薬において重要なエナンチオマ(enantiomer)の識別や、円偏光により選択的に誘起される新しい化学反応への応用が期待される。

今後の展開
今後は、この手法をさらに展開し、高い光強度と大きな円偏光度を両立するナノアンテナを用いることで、エナンチオマーの高感度センシングや、円偏光を利用した絶対不斉合成などへの応用が期待される。
(詳細は、https://www.kobe-u.ac.jp)