April, 16, 2015, Madison--ウイスコンシン大学マディソン校の化学教授、Song Jin氏の研究グループは、溶解法で作れる高効率太陽電池として現在注目されている有機-無機ハイブリッドペロブスカイトという材料に取り組んでいる。同グループは、この材料から高効率、超小型レーザを実現する技術を発見した。このような微小レーザは、オプトエレクトロニクス、コンピュータ、センサ用途に適している。
「ほとんどの研究者は、このペロブスカイト化合物を薄膜にして太陽電池を作るが、われわれはこの材料から引き伸ばした結晶を造る、極めて簡単な方法を開発した」とJin氏は説明している。Jinの研究室で成長させた微小な長方形結晶は、長さが10~100nm、横が約400nm、横断面がナノメートルなので、この結晶はナノワイヤと言う。
固体反応物をコーティングしたガラス板を第2の反応物に沈めると、ナノワイヤは約20時間で成長する。熱、真空、特別な装置は不要。実験室のビーカーで成長する。
室温で溶液から成長した単結晶ペロブスカイトナノワイヤは高品質で、ほとんど欠陥がなく、レーザに必要な優れた平行面を持っている。「発振品質と効率を従来方式で計測したところ、この材料の特性は傑出していることが分かった」とJin氏はコメントしている。
テスト結果によると、基本的に吸収された全てのフォトンがレーザ光のフォトンを生成する。共同研究者、コロンビア大学のXiaoyang Zhu氏は「このナノワイヤレーザの優位性は、既存のレーザに対して少なくとも一桁、効率がよいことだ」と言う。
ナノワイヤレーザのもう1つのアドバンテージは、ナノワイヤを作製するレシピを調整するだけで、可視光の多くの領域で特定の波長の光を発振するレーザを造れることにある。
現在のところ、このレーザの電気駆動はまだ実証されていない。Jin氏によると、実用アプリケーションにこのナノワイヤレーザを使用するに先立って化学的な安定性を改善すること、電気駆動の方法を見つけることが必要になる。