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軟X線パルスレーザ光源による世界最高エネルギーでの電子状態の計測に成功

January, 30, 2026, 大阪--量子科学技術研究開発機構(QST)関西光量子科学研究所 量子応用光学研究部超高速電子ダイナミクス研究プロジェクトの石井順久上席研究員、圓山桃子主幹研究員、板倉隆二プロジェクトリーダーは、QST独自の高出力レーザ技術を用いて、軟X線パルスレーザ光源(閃光)を開発した。

この光源は、「水の窓」全域をカバーし、酸素K吸収端 (540 eV)という世界最高エネルギー領域において、電子状態を選別した分光計測を初めて実現した。
光合成や太陽電池、光触媒などの光化学反応は、光によって励起された電子の動きによって機能するが、その電子の挙動を直接観測するにはアト秒(10⁻¹⁸秒)オーダーの閃光が必要になる。これまでのアト秒パルス技術は極紫外領域に限られており、酸素原子などの計測には不十分だった。
今回の成果により、水分子や酸化チタンなどに含まれる酸素原子内の電子の「静止画」撮像が可能となり、光照射直後の超高速反応過程の解明に道を開く。これは、人工光合成や光触媒の高性能化に向けた基礎技術として、今後の応用が期待される重要なマイルストーンである。

この研究は、アメリカ光学会発行の「Optics Letters」誌に掲載されました。

研究の内容
酸素K吸収端までの軟X線発生とその分光応用を目指し、QST関西光量子科学研究所では、中心波長2000 nm、パルスエネルギー1.32 mJ、パルス幅19.5フェムト秒、繰り返し周波数5 kHzの出力を持つ光パラメトリックチャープパルス増幅器 10)の開発に成功した。この増幅器は、研究所が独自に開発したイッテルビウム添加イットリウムアルミニウムガーネット(Yb:YAG)を用いた100 Wクラスの高出力レーザを励起光源として利用している。
従来の軟X線HHGに用いられているレーザ光源と比較して、5倍程度高い繰返し周波数を実現した。軟X線の光量は繰返し周波数に比例して増えるため、高繰返し・高出力の増幅器は、酸素K吸収端におけるX線吸収の高精度な測定に重要な技術要素となっている。
開発した赤外レーザ光源を用いてHHGを行った結果、酸素K吸収端(540 eV)を超える約620 eVまで軟X線スペクトルを拡張することに成功した。さらに、この軟X線光源を用いて、炭素、窒素、酸素のK吸収端およびチタンのL吸収端近傍の微細構造の計測にも成功している。これは、レーザを用いたコヒーレント軟X線光源によって、「水の窓」全域でX線吸収端近傍構造の計測を世界で初めて実現した成果である。

(詳細は、https://www.qst.go.jp)