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安価なサファイア基板上でAlGaNによるUV-B半導体レーザの室温連続発振を達成

January, 26, 2026, 名古屋--名城大学理工学部材料機能工学科の岩谷素顕教授、竹内哲也教授、上山智教授、三重大学大学院工学研究科の三宅秀人教授、ウシオ電機株式会社、および株式会社日本製鋼所の研究グループは、深紫外(UV-B1):280〜320 nm)領域の半導体レーザにおいて、世界で初めて、安価なサファイア基板を用いて医療に最適な 300~320 nm 帯域での室温連続発振(CW)を実証した。

基板には低コストで量産性に優れるサファイア基板を使用しており、医療機器・産業用途への普及を大きく前進させる画期的成果である。
この研究成果は、2026 年 1 月 12 日に AIP「Applied Physics Letters」(https://doi.org/10.1063/5.0307059)に掲載され、Featured Article(注目論文)として高く評価されている。

研究グループはまず、サファイア基板上にナノピラーを形成することで結晶歪みを緩和し、高品質な AlGaN テンプレートの作製に成功した。次に、このテンプレートの上に屈折率コントラストを利用したリッジ導波路構造を採用し、横方向の光閉じ込めと低しきい値動作の両立を実現した。また、鏡面損失を低減するために SiO₂/Ta₂O₅多層膜からなる高反射 DBR を両端面に形成し、熱拡散性を向上させるためにジャンクションダウン方式で AlN サブマウントに実装した。

その結果、318 nm において室温連続発振(CW)を安定して実現し、しきい値電流密度 4.3kA/cm²、しきい値電流 64 mA という優れた動作特性を示した。この成果は、低コスト基板を用いた UV-B レーザ開発の大きな転換点となる。

【今後の展開】
今後は、実装技術やデバイス構造の最適化により熱抵抗と電極抵抗のさらなる低減を図ることで、安定的な高出力室温連続発振(CW)動作の実現が期待される。また、波長可変性を臨床的に需要の高い 308~311 nm 帯へ高めることで、皮膚疾患治療用の光源としての応用も見込まれる。加えて、光カテーテル治療やタンパク質活性制御、微細加工などへの応用拡大も視野に入れており、量産性に優れたサファイア基板を用いることで、将来的には安価で普及性の高い医療・産業用レーザ市場の創出が期待される。
この研究は、日本発の深紫外レーザ技術を国際標準へ押し上げる重要なステップとなる。

(詳細は、https://www.meijo-u.ac.jp)