April, 9, 2015, Washington--1ペアの光波、微小な経路を1つ時計回りに、他方は反時計回りに高速で動く光波は、世界最小のジャイロスコープ実現の鍵を握る。この基本技術を全く新しいスケールにすることで、ニューヨーク市立大学スタテンアイランド校応用物理学の研究チームは、新しい世代の極めてコンパクトなジャイロスコープベースのナビゲーションシステムが可能になると考えている。
ジャイロスコープは、対象の動く方向をモニタする慣性誘導システムを含め、多くの技術で不可欠なコンポーネントとなっている。しかし、重量が長年の問題になっており、NASAによると軌道に乗せるのに1ポンドにつき約10000ドルかかるので、小型・軽量の基本的なコンポーネントを設計することにエンジニアやプロジェクトマネージャは変わることなく取り組んでいる。
ここに示したように、光ジャイロスコープのサイズが、1㎜のほんのわずかな大きさに縮小すると、それを光回路ボードに組み込むことができる。光回路は、従来の電子回路ボードと同じだが、情報伝達に電流ではなく光を使用する。こうなると、宇宙ミッションの装置コストは飛躍的に減少し、新しい世代のマイクロペイロードの可能性に道を開くことになる。
光ジャイロスコープは可動部分を持たない。2つの光波が光回路またはファイバを回転し、反対方向に進むことで絶えず行き交う。従来の機械式ジャイロスコープはニュートンの運動の法則を使って安定性と方向を維持するが、同じ物理原理は光には適用できないので、運動の計測にはその代わりに、明らかであるがかすかな光信号を探す。
そのような信号は、いわゆるサニャック効果という光の特性によるもので、簡単に言うと、光波が分かれ、次に回転する系から離れて再結合する時に計測可能な干渉パタンを生成する。市販の光ジャイロスコープはこの原理に立脚しており、サイズは野球のボールからバスケットボールまである。研究チームは、これを遙かに小さくしたが、計測回転は現状のものと比べると遙かに高感度が必要となる。
研究チームは、遠視野エミッションをベースにした原理を採用することで、従来の光ジャイロスコープの問題点を克服することができた。光波の色変化を直接計測するのではなく、研究チームは、光がキャビティを出るときに生成するパタンを計測できると判断した。
「これが重要イノベーションであった。回転に対する感度が遙かに改善された新しい信号を検出できる。この新しい信号を生成し、検出できるように最適化された光ジャイロスコープは、約10µm径にできる」とニューヨーク市立大学のLi Ge氏は説明している。
新しい光ジャイロスコープを始動させるためには、まず光波を光キャビティにポンプする。これによって自然に、時計回りと反時計回りに回転する光波が生成される。
光キャビティの形状を注意深く設計することで、両方の波が出る位置をコントロールすることができた。通常、キャビティは可能な限り光をトラップするように設計される。ここでは、光の一部を逃して遠視野放射パタンを作る必要があるため、キャビティの光トラッピング特性はバランスさせておかなければならない。このパタンは、キャビティに沿って動き、異なる角度でキャビティに向けられた1ペアのカメラのようなディテクタを置いて観察される。こうすることで、回転速度を明らかにする歪のパタンを連続的にモニタすることができる。
これは1面の動作しか明らかにしないが、異なる方向でそのようなセンサを多数設置すると、対象がどのように動くかを完全3D画像で捉えることができる。