December, 23, 2025, Leuven--IEEE国際電子デバイス会議(IEDM 2025)において、先進的な半導体技術における世界有数の研究・イノベーション拠点であるimecは、300mm CMOSパイロットラインで開発されたメタサーフェス上でコロイド量子ドットフォトダイオード(QDPDs)の統合成功を実証した。この先駆的なアプローチにより、コンパクトで小型化された短波赤外線(SWIR)スペクトルセンサの開発のためのスケーラブルなプラットフォームが可能となり、コスト効率が高く高解像度のスペクトルイメージングソリューションの新たな基準を打ち立てた。
SWIRセンシングにおける新たな可能性の解き放ち
短波赤外線(SWIR)センサは独自の能力を持っている。可視光スペクトルを超えた波長を検出することで、人間の目では見えないコントラストや特徴を明らかにし、プラスチックや布地などの特定の素材や、霞や煙のような厳しい環境でも透視できる。しかし、従来のSWIRセンサは依然として高価でかさばり、製造が難しく、その利用はニッチなアプリケーションに限定されている。量子ドット(QD)イメージセンサは、新しいタイプのSWIRセンーで、低コストと高解像度を兼ね備えた有望な代替手段を提供する。しかしこれまでのところ、スペクトルモードではなくブロードバンドで動作している。
Imecは、300mm CMOSパイロットラインで開発されたメタサーフェスとコロイド量子ドットフォトダイオード(QDPDs)を共統合することで、この課題に取り組む。量子ドットは特定の赤外波長を吸収するように調整可能なナノスケール半導体であり、メタサーフェスはナノパターンの超薄層で、光がセンサとどのように相互作用するかを正確に制御する。これらの要素をCMOS互換プロセスで組み合わせることで、imecは小型化されたSWIRスペクトル検出器のためのスケーラブルなプラットフォームを構築し、標準的なCMOSプロセスで製造可能なコンパクトで高解像度のセンサアーキテクチャを実現した。
「この技術を特に際立たせているのは、そのスケーラビリティだ」とimecのR&Dプロジェクトリード、Vladimir Pejovicは話している。「従来の量子ドットイメージンサは、すべての波長に対応する複雑なフォトダイオード層を再設計する必要があり、そのため各アプリケーションのスペクトル調整は複雑かつコストがかかる。われわれのアプローチは、フォトダイオードスタックを変更するのではなく、メタサーフェスを使ってスペクトル応答を調整(tune)することで、その複雑さをCMOSレベルに移す。これにより、簡単にカスタマイズ可能な高解像度スペクトルSWIRセンサへの道が開かれ、セキュリティ、農業、自動車、航空宇宙などの分野での新機能への道が開かれる。」
コラボレーションによるイノベーションの加速
この画期的な成果は、量子ドット画像センサ、平面光学(メタサーフェス)、スペクトルイメージングにおけるimecの専門知識を統合した学際的な取り組みの結果である。次のステップは、この技術を概念実証から小量生産、そして最終的には本格的な製造へとスケールアップすることである。この移行を加速させるために、imecはパートナの協力を呼びかけている。
「われわれの野望は、この画期的な成果を業界向けのプラットフォームに変えることである」とimecのポートフォリオマネージャ、Pawel Malinowskiは説明している。「われわれはパートナと協力してカスタムイメージセンサや統合デバイスを開発し、この技術を実際の応用で実証したいと考えている。imecのスペクトル専門知識、量子ドットノウハウ、高度なCMOSプロセス能力を特定の応用領域と組み合わせることで、イノベーションを加速させ、次世代のSWIRセンサを概念実証から本格的な製造へと導くことを目指している。したがって、Imecはパートナとの協力を歓迎し、センシングとイメージングの未来を共に形作ることを歓迎する。」