December, 22, 2025, 京都--マイクロエンジニアリング専攻 廣谷潤准教授と京セラ株式会社は共同で、セラミックデバイスを用いて「熱」をAIの計算資源として活用するリザバーコンピューティング技術の実証に成功した。
熱は、われわれの生活に身近なエネルギーであり、衣服、食事、住居など様々な場面で使われている。しかし、日本のように資源が限られた国では、「熱エネルギーをいかに有効に活用するか」が重要な課題である。一方で、近年AIの学習や推論を担うデータセンタの消費電力は、生成AIの普及により急増しており、社会的な問題となっている。
京都大学と京セラは、これまで廃棄されてきた排熱をAIの「計算資源」に変換し利活用するという新しい発想のもと、熱そのものを使って情報処理を行う技術を開発した。
研究チームはこの技術を、『サーマルリザバーコンピューティング(Thermal Reservoir Computing、以下:TRC)』と呼称しており、熱の広がり(拡散)をそのまま時系列データとして利用し、従来は無駄になっていた熱そのものをAIの「計算資源」に変えることを可能にする技術の確立と省エネルギー社会の実現を目指している。このTRC技術を活用することで様々なモノの状態判定を現場で素早く行うことが期待できるだけでなく、このTRC技術を搭載したエッジAI処理によりデータ量を 1/10〜1/100 に削減できれば、通信に必要な電力やデータ転送の遅延を大幅に抑えることも可能になる。
(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)