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目は、ヒューマノイドロボットの心の認識に影響を与える

December, 8, 2025, Tampere--目は人間の相互作用において基本的なものである。タンペレ大学(Tampere University)の最近の研究では、ヒューマノイドロボットのような人工生命体の目の有無が、その心の認識にどのように影響するかを調べた。この研究は、ロボットに目を持つと、その「心」の感覚、特に人間が付与する主体性が強化されることを明らかにした。

目は魂の鏡と言われている。目と視線の方向は注意を誘導し、感情を喚起し、脳の社会的知覚機構を活性化する。

タンペレ大学とブレーメン大学(Uiversity of bremen)の研究チームは、人間がヒューマノイドロボットの心をどのように認識するかを調査する研究を行った。Mind perception(心の知覚)とは、人間が他の人や存在、さらには物体が意識、感情、認知状態を持っていることを検出し推論する方法を指す。

心の知覚は主体性と経験に分けることがよくある。主体性は思考、自己制御、行動の結果の評価などの能力を指す。一方、経験は感情を感じる能力を含む。人間はこのような精神的特性を、例えばフードデリバリーロボットのような様々な現象や物体に帰属させる傾向が強い。しかし、市場にあるすべてのヒューマノイドロボットが目と解釈できる顔の特徴を持っているわけではない。

研究チームが行った実験では、ロボットは目を持つとより大きな主体性と経験を持つと見なされることが示された。

その結果はヒューマノイドロボットの設計者に利益をもたらす
この研究では、研究チームはまずAIを用いて、リアルなヒューマノイドロボットの大規模なセットを生成した。各ロボットは目のあるものとないものの2つのバージョンに改造された。これらのロボットの画像は、2つの別々の実験で多数の参加者に提示された。

ロボットが子供っぽいか大人のように見えようと、目が顔のスクリーンに表示されるか顔の構造に直接埋め込まれているかに関わらず、目を持つロボットは一貫してより大きな主体性と経験を持つと評価されていた。

この研究を主導したタンペレ大学のJari Hietanen教授は、意識的な自己評価に依存しない実験でも眼の影響が明らかだったと強調している。この発見は、目の存在が情報処理の初期段階で心の知覚を高めたことを示唆している。

「この研究は、目が単なる美的なディテール以上のものであることを示している。目は人々がロボットの社会的・道徳的地位をどのように認識するかを形作ることができる。これは重要な点で、心の認識は共感力、協力意欲、さらには人々が技術を倫理的に扱う方法にも影響を与える。これらの発見はヒューマノイドロボットの設計に直接的な影響を与える」と同教授は指摘している。

この研究はフィンランド研究評議会の支援を受けた。

研究論文
研究論文全文はこちら:Hietanen, J. K., Linnunsalo, S., & Küster, D. (2026)。ヒューマノイドロボットにおける目が主体性や経験の帰属に与える影響。『意識的SSと認知』137巻:103963。(The impact of eyes on attributions of agency and experience in humanoid robots. Consciousness and Cognition, 137: 103963.)