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フレキシブルワイヤレスシステム用に開発された3Dプリントアンテナアレイ

November, 7, 2025, Pullman--ワシントン州立大学主導の研究チームは、チップサイズのプロセッサと3Dプリントされたアンテナアレイを開発した。これは、いずれ柔軟でウェアラブルなワイヤレスシステムと、自動車、航空、宇宙産業の様々なアプリケーションにおける電子通信の改善につながる可能性がある。

Nature Communications誌に掲載された報告によると、研究チームは3Dプリンティング、プロセッサ、銅ナノ粒子から作られたインクを使用して、柔軟なアンテナアレイを作成した。

「この概念実証プロトタイプは、将来のスマートテキスタイル、ドローンや航空機の通信、エッジセンシング、および堅牢で柔軟で高性能なワイヤレスシステムを必要とするその他の急速に進化する分野への道を開く」と、論文の共同筆頭著者、WSUの電気工学およびコンピュータサイエンス学部のPh.D学生、Sreeni Poolakkalはコメントしている。

航空や自動車産業などの業界は、従来のアンテナアレイよりも軽く、小さく、柔軟性が高いため、3Dプリントされたフレキシブルまたはコンフォーマルアンテナアレイを使用できるようにしたいと考えている。したがって、たとえば、ドローンにアンテナの層を取り付けることができる。

この概念実証プロトタイプは、将来のスマートテキスタイル、ドローンまたは航空機の通信、エッジセンシング、および堅牢で柔軟で高性能なワイヤレスシステムを必要とするその他の急速に進化する分野への道を開く(Sreeni Poolakkal、WSU電気工学/コンピュータサイエンスPh.D学生)。

とは言え、フレキシブルワイヤレスシステムは、その材料と製造方法により、製造は高価であり、標準的なアンテナアレイほど性能を発揮していなかった。ウェアラブル電子機器や飛行機の翼が振動しているときなど、アンテナが動いたり曲がったりすると、アンテナの形状が変化し、信号に誤差が生じる。

WSUが率いるチームは、3Dプリントと銅ナノ粒子から作られたインクを使用して、曲げたり、高湿度、温度変化、塩分にさらされたりしても安定したままのアンテナを実現した。メリーランド大学とBoeingチームの共同研究者は、銅ナノ粒子ベースのインクを開発した。

「インクはAM、つまり3Dプリンティングにおいて非常に重要な部分である」と、WSU電気工学およびコンピュータサイエンス学部准教授、この研究の共著者であるSubhanshu Guptaは話している。「われわれの共同研究者によって開発されたナノ粒子ベースのインクは、われわれが行っているようなハイエンド通信回路の性能を向上させるのに実際に非常に強力である。」

精密な無線通信にはかなりの忠実度が要求されるため、研究チームはアンテナからの誤った信号をリアルタイムで修正できるプロセッサチップも開発した。

「われわれは、3Dプリントされたアンテナのこれらの材料の変形を補正するために開発したこのプロセッサを使用した。また、目に見える振動も補正する。それをリアルタイムで実行できるので、非常に魅力的である。これまで不可能だった、アレイの堅牢なリアルタイムのビーム安定化を実現することができた」(Gupta)。

研究チームは、アンテナが動いたり曲がったりしているときに信号を正常に送受信できる4つのアンテナからなる軽量で柔軟なアレイを構築し、テストした。小型アンテナは低消費電力で、簡単に拡張できるため、デバイスへの実装に最適である。これらはタイルとして構築されているため、アレイ設計によりより大きなアレイを構築でき、各タイル上の個々のプロセッサチップは独立して動作する、とGuptaは説明している。
研究チームは、4つのアンテナアレイを組み立てて、合計16個のアンテナを作ることができた。