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超低電圧で光る深青色有機ELの開発に成功

October, 22, 2025, 東京--東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 フロンティア材料研究所の伊澤誠一郎准教授らの研究チームは、乾電池(1.5 V)1本をつなぐだけで光るという、世界最小電圧で発光する深青色有機ELの開発に成功した。

有機ELは大画面テレビやスマートフォンのディスプレイとして既に商用化されているが、光の三原色では最も高いエネルギーを有する青色の有機EL素子には、駆動電圧の高さや長期動作安定性の低さという課題がある。特に次世代のディスプレイ規格を満たす深青色の低電圧化には成功していなかった。

伊澤准教授らはこれまでの研究で、2種類の有機分子の界面におけるアップコンバージョン過程を利用することで、青色有機ELの低電圧化に成功している。今回の研究で共同研究チームは、アップコンバージョン有機EL(UC-OLED)で最終的に光る蛍光ドーパントとして、種々の材料を発光層に加えることで、その材料設計指針を明らかにした。その結果、UC-OLED中の電荷輸送を阻害しない材料群を見つけ出し、最も優れた材料を用いた場合では、発光ピーク450 nm以下、半値幅20 nmの高い色純度の深青色発光を乾電池1本相当の電圧である1.5 Vで発光できる有機ELの開発に成功した。

次世代のディスプレイ規格に近い深青色発光に要する電圧を大幅に低減した今回の成果は、大画面テレビやスマートフォンディスプレイなどの発光素子の省電力化を通して、エネルギー利用効率の高い社会の実現に寄与することが期待される。

この研究は主にJST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)、JST戦略的創造研究推進事業さきがけ、科学研究費助成事業、分子科学研究奨励森野基金の支援を受け、東京科学大学 総合研究院 フロンティア材料研究所の伊澤誠一郎准教授、真島豊教授、Shui Qingjun(スイ・チンジュン)大学院生(博士後期課程)、岩崎洋斗大学院生(博士後期課程)、中東大喜大学院生(修士課程)らによって実施された。
研究成果は、10月1日付(現地時間)の「Advanced Optical Materials」誌に掲載された。

(詳細は、https://www.isct.ac.jp)