October, 6, 2025, 仙台--東北大学大学院理学研究科の金田文寛教授とPengfei Wang大学院生、情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター超伝導ICT研究室の藪野正裕主任研究員らの研究グループは、量子情報を担う量子ビットとして直接利用できる単一光子の偏光状態や量子もつれ状態を、低損失かつ高度に維持しながら伝送経路を切り替えられるルータの開発に成功した。
このルータは、偏光状態によらず光子の位相を制御する電気光学素子や、既存の光学干渉計を変形させたユニークな構造をもつ光学干渉計の開発によって実現された。
近年、量子コンピュータや量子暗号通信などの次世代情報技術の研究が活発化している。これらを実現するためには、量子情報デバイス間をつなぐ量子ネットワークを構築し、光の量子である単一光子や量子もつれ光子の伝送経路を自在に切り替えるルーティング技術が求められる。
この研究成果は国際学術誌Advanced Quantum Technologies に2025年9月3日に掲載された。
【発表のポイント】
・量子情報処理の情報の基本単位である単一光子の量子ビットや2個以上の光子が相関する量子もつれ光子の伝送経路を、低損失で偏光無依存に切り替えられる光子ルータ動作の実証に成功した。
・新たな結晶配置による電気光学スイッチや変形した干渉計を開発したことで、低損失で光子の偏光状態に依存しない動作を実現した。
・このルータ技術は、量子ネットワーク内での量子もつれ光子の高精度な伝送経路切り替えや、全光学的な量子メモリ技術への応用などが期待される。
(詳細は、https://www.tohoku.ac.jp)