September, 4, 2025, 東京--東京大学大学院工学系研究科の相馬豪大学院生、種村拓夫教授らは、光学メタサーフェスを用いた多入力多出力ベクトルビーム変換器の実証に成功した。
光の波長よりも小さな微細構造からなる光学メタサーフェスと金反射膜を用いた小型デバイスで、入力された複数のビームを直交した偏波・空間モードに変換した上で、それらを重ね合わせた状態(すなわち、多重化した状態)で出力できることを初めて示した。
多数の空間モードを多重化もしくは分離するには、これまでは複数の光学部品を複合的に組み合わせる必要があり、モジュール全体の小型化と低コスト化を妨げる要因になっていた。さらに偏波モードもあわせて分離するためには、追加で偏波ビーム分離器も必要だった。これに対して、この研究では光学メタサーフェス技術を用いることで、面積が約0.2 ㎟ 、厚さが約0.6 mmの小型素子により、多数の光ビームの空間・偏波モードを同時に変換して多重化した状態で出力するデバイスを実現した。発光素子や受光素子との集積、及び、2次元並列化も可能であり、将来の自由空間光通信、大容量空間分割多重光通信、偏波依存ホログラフィックイメージングなど様々な応用が期待される。
発表のポイント
・光の波長よりも小さな微細構造からなる光学メタサーフェスを用いた小型デバイスで、多数の直交した空間・偏波ビームを多重化・分離できることを初めて実証。
・全領域の大きさが約0.2㎟ の光学メタサーフェスにおいて3回反射させることで、6個のビームをそれぞれ異なる空間・偏波ビームに変換して出力する多重器を実現。
・発光/受光素子との集積、光ファイバとの実装、及び、2次元並列化も可能であり、将来の自由空間光通信や大容量空間モード多重光通信用の小型送受信器、及び、偏波依存ホログラフィックイメージング用デバイス等に適用可能。
(詳細は、https://www.t.u-tokyo.ac.jp)