March, 12, 2015, Southampton--サザンプトン大学の研究チームによると、特殊ガラスでできた光ファイバを使った新しい研究により、人の脳のように機能するコンピュータが間もなく現実になる。
Advanced Optical Materialsに発表された研究成果では、学習し進化する、よりスマートな高速光コンピューが実現する可能性がある。
サザンプトン大学オプトエレクトロニクスリサーチセンタ(ORC)、CDPT(Centre for Disruptive Photonic Technologies)、南洋理工大学(NTU)の研究チームは、カルコゲナイドガラスファイバを使って、情報キャリアとしての光パルスで、脳の神経ネットワークとシナプスの再生産方法を実証した。
このプロジェクトは、シンガポールのA*STARの助成を受けており、NTUとORCの両研究機関が先頃設立したTPI(The Photonics Institute)内で行われた。
過去10年、神経形態学的コンピューティング研究が、脳の機能や信号プロトコルを真似るソフトウエアと電子ハードウエアを進歩させた、狙いは従来のコンピュータの効率と適応性改善。
しかし、生物学的システムと比べると今日のコンピュータは、効率が100万倍以上劣る。脳の活動を5秒シミュレーションするに500秒かかり、1.4MWのパワーを必要とする。人間の脳はわずかなカロリーを燃やすだけだ。
従来のファイバ線引き技術を利用して、マイクロファイバをカルコゲナイド(硫黄ベースのガラス)から造ることができる。カルコゲナイドは様々な広帯域光誘起効果をもっており、これによってファイバはON/OFFスイッチができる。この光スイッチングは、様々な次世代コンピューティングアプリケーションに利用することができ、大量のデータを遙かに高いエネルギー効率で処理することができる。
カルコゲナイドファイバの材料特性を利用することで、NTUのCesare Soci教授の研究チームは、脳機能と同等の機能を光で幅広く実証した。これらには、神経の静止状態の維持、刺激を受けたときの神経細胞における電気的活動の変化を真似ることが含まれている。提案されたこの脳機能の光学バージョンでは、ガラスの変化特性が神経細胞の変化する電気的活動として働く。こうした特性を変化させるための刺激は光が与える。これによって光信号のスイッチングが可能になり、これは神経細胞の発火に相当する。
この研究は、スケーラブルな脳に似たコンピューティングシステムに道を開くものであり、生物学的、電気的な対抗システムと比較して、これには超高速信号伝送速度、広帯域、低消費パワーを利用する。
Cesare Soci教授によると、この研究は認知的フォトニックデバイスやネットワークを効果的に使って、非ブールコンピューティングや意思決定パラダイムの開発を示唆するものである。これらは脳の機能や信号プロトコルを真似て、従来のデータ処理の帯域と消費電力のボトルネックを克服するものとなる。