July, 17, 2025, 大阪--大阪公立大学の研究グループは、あざ治療のメタ分析にレーザ照射条件を新たに取り入れ、ピコ秒レーザとナノ秒レーザを比較した。
太田母斑は目の周りや頬に現れる青黒い皮膚のあざで、治療にはレーザが用いられている。診療ガイドラインの策定には、複数の研究結果を統合して治療の有効性と安全性を客観的に評価するメタ分析が不可欠である。従来のメタ分析では、レーザ照射条件の妥当性が考慮されていなかったため、照射が過少・過剰な場合の治療結果も含まれており、より正確な評価が望まれていた。
大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学の下条裕ポスドク研究員、小澤俊幸特任教授、鶴田大輔教授、大阪大学大学院工学研究科の西村 隆宏助教、東海大学医学部外科学系形成外科の河野太郎教授らの研究グループは、インシリコモデルと呼ばれる計算機上での数理モデルで計算された、適正な照射条件を判定する指標を作成し、その指標内の治療を分析対象とする「インシリコ支援メタ分析」を開発した。それを太田母斑の治療に適用した結果、適正な照射条件のピコ秒レーザは、従来のナノ秒レーザよりも効果が高く、同等の安全性を示した。また、適正な照射条件の指標により、効果的で安全なピコ秒レーザの照射条件を提供できることも示された。
この研究結果は、レーザ治療の標準化に貢献することが期待できる。
「レーザ治療のインシリコモデルとメタ分析を組み合わせることで、メタ分析の確度向上と照射条件の適正化を両立させた。これは、レーザ治療の再現性と安全性を高めると同時に、今後のガイドライン策定や治療標準化に貢献すると考えている」(下条 裕ポスドク研究員)。
研究成果は、2025年6月20日、米国皮膚科学会が刊行する国際学術誌「JAAD Reviews」にオンライン掲載された。