July, 16, 2025, 仙台--東北大学大学院情報科学研究科の熊谷政仁特任助教と小林広明教授らは、NTT Research, Inc.Physics & Informatics研究所米国カリフォルニア州サニーベール、所長 山本喜久)と共同で、量子光学的原理に基づいた新しいタイプの計算機「単一光子コヒーレントイジングマシン(CIM)」を提案し、その性能評価を行った。
この成果は、制約付き最適化問題に定式化される教師なし機械学習の代表的課題に対して、極めて微弱な光(平均1光子/パルス)で高い最適解探索能力を持つことを世界で初めて示したものである。
発表のポイント
・光の量子力学的な効果を活用して効率的に組み合わせ最適化問題を解く新しい「コヒーレントイジングマシン(CIM)」を提案した。
・通常のCIMに比べ、極めて微弱な光で高い性能を示す「単一光子CIM」の可能性を理論・数値シミュレーションにより実証した。
・今回提案された単一光子CIMはパルスあたり平均1光子という極限の量子状態で動作し、通常であれば光損失やバックグラウンドノイズによって失われるはずの量子もつれが、量子計測とフィードバック制御によって有効活用されることを示した量子デジタルハイブリッドコンピューティングにおける大きな進展となる成果である。
研究成果は、英国物理学会(IOP)が発行する量子科学技術分野の学術誌Quantum Science and Technologyに掲載された。