June, 18, 2025, Shanghai--上海の復旦大学(Fudan University)の共同研究チームは、新しい光電子材料を使用して革新的な網膜プロテーゼを開発し、眼に移植した後の視覚回復に希望を与えている。
研究チームによると、この小さな自己発電式インプラントは、盲目のマウスと非ヒト霊長類でのテストに成功し、その有効性が実証されている。
主任研究者の1人Wang Shuiyuanは、このプロテーゼは網膜のアポトーシス光受容体細胞を置き換えると述べた。光にさらされると、生き残った神経細胞を活性化する小さな電流が発生する。
「この方法は、後天性失明の症例に適している」と、復旦大学の集積回路およびマイクロ・ナノ・エレクトロニクス学部のWangは話している。
研究チームによると、インプラントは外部電源を必要とせず、低侵襲手術によって挿入できる。
このプロジェクトに関する論文は、Scienceのウェブサイトに掲載された。この研究には、復旦大学の集積回路学院およびマイクロ・ナノエレクトロニクス学院、復旦大学の脳科学研究所、中国科学院の上海技術物理学研究所の科学者が参加した。
「注目すべきは、このシステムにより外部電源が不要になり、かさばる補助機器を必要とせずに低侵襲の網膜下移植が可能になったことだ」と論文の査読では指摘されている。
プロテーゼはテルルナノワイヤーネットワークを使用し、ベースとナノワイヤで構成されている。レーザ技術を使用して、インプラントを指の爪の20分の1ほどの小さな断片に切断し、個々のニーズに合わせてインプラントの数を調整する。
脳科学研究所(Institute of Brain Science)の研究者、Zhang Jiayiによると、実験室でのテストでは、以前は触覚や嗅覚に依存していた盲目のマウスが、移植後に光過敏症を発症したことが示された。
「われわれが計画した実験では、マウスは円形のパターンよりも報酬のある三角形のパターンを識別することができた」(Zhang)。
研究チームは、移植後6か月後に非ヒト霊長類モデルで副作用は観察されなかったと述べ、将来の臨床応用の基礎を築いたと述べている。
また、このデバイスはこれまでで最高の光電流密度を持ち、視覚的な再構成と強化のための広範なスペクトルカバレッジを可能にすることも報告された。
このプロテーゼは、ユーザの視覚を940nmと1,550nmの赤外線スペクトルに拡張する。それは470~1,550nmの範囲をカバーし、380~780nmの人間の視覚の自然範囲をはるかに超えている。
「これは、この次世代のスーパービジョンプロテーゼ技術が、人間の自然な視覚の限界を押し広げる可能性があることを意味する」とWangはコメントしている。
チームは、テストにより、動物がデバイスを使用して「スーパービジョン」を獲得し、赤外線を知覚し、赤外線パターンを認識できるようになったと述べた。
「この研究の将来の方向性は、生物の視覚情報処理の速度と精度を向上させる方法を探求することである」とZhangは話している。