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ロボットの動き方を再考:光とAIがソフトロボットアームで正確な動きを駆動

June, 18, 2025, Houston--ライス大学の研究者は、障害物を回避したり、ボールを打ったりするなどの複雑なタスクを実行できるソフトロボットアームを開発した。これは、電子機器や配線を使わずにレーザビームによって遠隔操作で誘導、駆動される。この研究は、デリケートな物体を扱う必要がある埋め込み型手術装置や産業機械を制御する新しい方法を提供する可能性がある。

スマートマテリアル、機械学習、光学制御システムを統合した概念実証研究では、材料科学者のHanyu Zhuが率いるライス大学の研究者チームは、光に反応するポリマの一種であるアゾベンゼン液晶エラストマ(アゾベンゼン)で作られたロボットアームに光パターニングデバイスを使用して正確に運動を誘導した。

Advanced Intelligent Systemsに掲載された研究によると、新しいロボットシステムには、特定の腕の動きを作成するために必要な正確な光パタンを予測するように訓練されたニューラルネットワークが組み込まれている。これにより、ロボットはオペレータからの同様に複雑な入力を必要とせずに、複雑なタスクを簡単に実行できる。

「これは、ソフトロボットアームの光応答性材料に対するリアルタイムのリコンフィギャラブルな自動制御の最初のデモンストレーションだった」と、この研究の筆頭著者、ライス大学の博士課程の卒業生、Elizabeth Blackertはコメントしている。

従来のロボットは通常、ヒンジ、ホイール、グリッパーなどの可動要素を備えた剛性の高い構造を含み、事前に定義された比較的制限された可動範囲が可能である。ソフトロボットは、デリケートな物体と安全に相互作用することが求められる医療などの文脈で、新たな応用分野を切り開いてきた。いわゆるコンティニュアムロボットは、移動性の制約を排除し、自由度を大幅に拡大した適応運動を可能にするソフトロボットの一種である。

「ロボットにソフトマテリアルを使用する際の大きな課題は、それらがつながれているか、非常にシンプルであらかじめ決められた機能を持っていることである。リモートで任意にプログラム可能なソフトロボットを構築するには、材料開発、光学システム設計、機械学習機能に関する専門知識を独自に組み合わせる必要がある。われわれの研究チームは、この学際的な研究を引き受けるのに他に類を見ないほど適していた」と、材料科学およびナノエンジニアリングZhu助教授は、説明している。

チームは、青色レーザ光の下で収縮し、暗闇でリラックスして再成長するエラストマの新しいバリエーションを作成した。これは、リアルタイム制御を可能にする高速緩和時間として知られる機能である。有害なUV光を必要とする、またはリセットに数分かかる他の感光性材料とは異なり、これはより安全で長い波長で動作し、数秒以内に応答する。

「材料の片側にレーザを当てると、収縮により材料がその方向に曲がる。われわれの素材は、花の茎が太陽光に対して曲がるように、レーザ光に向かって曲がる」(Blackert)。

材料を制御するために、研究チームは空間光変調器を使用して、1つのレーザビームを複数のビームレットに分割し、それぞれがロボットアームの異なる部分に向けられた。ビームレットはONまたはOFFにしたり、強度を調整したりできるため、タコの触手のように、アームを任意のポイントで曲げたり収縮させたりできる。この技術は、原理的には、固定関節を持つ従来のロボットの能力をはるかに超える、事実上無限の自由度を持つロボットを作成することができる。

「ここで新しいのは、光のパターンを使用して形状の複雑な変化を実現することである。これまでの研究では、材料自体がパターン化またはプログラムされ、ある方法で形状が変化していたが、ここではレーザビームレットのパターンによって材料が複数の方法で変化する可能性がある」と、化学および生体分子工学の教授兼副議長、材料科学およびナノエンジニアリングのRafael Verduzco教授は話している。

このようなマルチパラメータアームを訓練するために、チームは少数の照明設定の組み合わせを実行し、それぞれのケースでロボットアームがどのように変形するかを記録し、そのデータを使用して畳み込みニューラルネットワーク(CNN;画像認識に使用される人工知能の一種)を訓練した。その後、モデルは、屈曲やリーチアラウンドモーションなどの目的の形状を作成するために必要な正確な光パターンを出力することができた。

現在のプロトタイプは平面で2Dで動くが、将来のバージョンでは、センサやカメラを追加することで3次元に曲がる可能性がある。

「これは、埋め込み型生物医学デバイスからソフトグッズを扱う産業用ロボットまで、様々なアプリケーションに対応する、より安全で高性能なロボットを実現するための一歩である」とBlackertはコメントしている。