June, 2, 2025, Tuscon--もし、超高速の光パルスが、今日の最高のプロセッサの100万倍の速度でコンピュータを動作させることができるとしたらどうだろうか?(University of Arizona:U of A)の研究者を含む科学者のチームは、それを可能にするために取り組んでいる。
理学部物理学科とJames C. Wyant光学科学学部の研究者たちは、画期的な国際的取り組みとして、1兆分の1秒未満の光パルスを用いてグラフェン中の電子を操作する方法を実証した。トンネリングと呼ばれる量子効果を活用することで、電子が物理的な障壁をほぼ瞬時に通過することを記録し、コンピュータの処理能力の潜在的な限界を再定義する偉業を成し遂げた。
Nature Communications に掲載された研究は、この技術がペタヘルツ領域の処理速度(現代のコンピュータチップの1000倍以上)をどのようにもたらすかにスポットを当てている。
この速度でデータを送信すれば、われわれが知っているコンピューティングに革命を起こすだろうと、物理学および光学科学の准教授Mohammed Hassanは話している。同氏は長い間、光ベースのコンピュータ技術を追求し、以前は世界最速の電子顕微鏡の開発を主導してきた。
「人工知能ソフトウェアなどの技術の開発は大きな飛躍を遂げたが、ハードウェア開発のスピードはそれほど速くない。しかし、量子コンピュータの発見に頼ることで、現在の情報技術ソフトウェアの革命に匹敵するハードウェアを開発できる。超高速コンピュータは、宇宙研究、化学、医療などの分野での発見に大いに役立つだろう」(Hassan)。
研究チームはもともと、炭素原子の単層で構成される材料であるグラフェンの改良サンプルの電気伝導率を研究していた。グラフェンにレーザを照射すると、レーザエネルギーが材料内の電子を励起し、電子を移動させて電流を形成する。
時々、これらの電流は互いに打ち消し合う。Hassanによると、これはレーザのエネルギー波が上下に動き、グラフェンの両側に等しく反対の電流を生成するために発生する。グラフェンの対称的な原子構造のため、これらの電流は互いに鏡像化して互いに打ち消し合い、検出可能な電流は残らない。
しかし、もし1つの電子がグラフェンをすり抜け、その移動をリアルタイムで捉えて追跡できるとしたらどうか?そのほぼ瞬時の「トンネリング」は、チームが様々なグラフェンサンプルを改質したという予想外の結果だった。
「本当の発見は、予想もしなかったことから生まれる」とHassanは言う。「研究室に入ると、常に何が起こるかを予想するが、科学の真の美しさは、小さなことが起こることで、さらに調査するように導くことである。このトンネル効果を達成したことに気づいたら、さらに詳しく調べる必要があった。」
研究チームは、特殊なシリコン層を導入するように改造された市販のグラフェンフォトトランジスタを使用して、638アト秒の速度でオフとオンを切り替えるレーザを使用して、Hassanが「世界最速のペタヘルツ量子トランジスタ」と呼んだものを作成した。
トランジスタは、2点間の電気の流れを制御する電子スイッチまたは増幅器として機能するデバイスであり、現代の電子機器の発展の基礎となるものである。
「参考までに、1アト秒は百京分の1秒。つまり、この成果は、ペタヘルツ速度のトランジスタを実現することで、超高速コンピュータ技術の開発に大きな飛躍をもたらしたということである」(Hassan)。
温度や圧力などの厳しい条件下で科学の進歩が見られることもあるが、この新しいトランジスタは周囲条件で機能し、日常の電子機器での商用化と使用への道を開いた。
Hassanは、イノベーションの特許と市場化のために、アルタ大学の研究から生じる発明を商業化するために研究者と協力するオフィスであるTech Launch Arizonaと協力している。当初の発明では特殊なレーザが使われていたが、研究チームは市販の装置と互換性のあるトランジスタの開発を進めている。
「業界のパートナーと協力して、このペタヘルツ速度のトランジスタをマイクロチップで実現できることを願っている。アリゾナ大学は、すでに世界最速の電子顕微鏡で知られている。また、初のペタヘルツ速度トランジスタでも知られるようになりたいと考えている」(Hassan)。