May, 19, 2025, 東京--日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表NTT)は、デジタルカメラにより撮影した道路橋等のインフラ施設の画像から数年後の鋼材腐食の進行を高精度に予測する技術を確立した。
同技術は実際の撮影画像から将来の腐食の広がりを予測した画像を生成することができる世界初の検査技術であり、腐食進行した実際の施設の画像と設置環境のデータの学習により高精度な予測画像の生成を可能にした。道路橋および道路に添架された通信用管路設備を用いた検証の結果、数年後における腐食領域の増加率を平均誤差10%未満(9.9%)の精度で予測できることを確認した。
この技術により、数年後の腐食状況を高精度に把握できるため、点検周期や補修工事時期の最適化が可能になり、維持管理業務の抜本的な効率化による保全コストの縮減を実現できる。
同技術は2025年度中にNTTグループ会社での道路橋を対象に事業化を予定している。また、他の劣化事象(ひび割れ、裂傷等)への技術拡大を進め、持続可能な社会の実現に貢献する。
技術の概要
デジタルカメラによる施設の撮影画像から数年後の鋼材腐食の進行を高精度に予測する技術を確立した。この技術は施設の画像、施設が設置されている環境データ(気温や降水量等)、予測したい年数の3つのデータを入力することで、将来の腐食の広がりを予測したデータを生成する。
なお、この技術に用いた画像は道路橋およびNTTが保有している通信用管路設備の鋼材部の撮影画像であり、過去数十年にわたりNTTで実施してきた設備点検時に収集したデータである。また、これらのデータでは腐食進行が著しく早い海岸沿い等の塩害地域は対象外である。
【技術ポイント】
この技術は深層学習手法の敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative adversarial network)をベースに構築している。GANとは入力データの特徴を学習することで、擬似的なデータを生成することができる生成モデル。
NTTはこのGANに経過年数と腐食の増加量に加えて、過去と現在の施設画像を活用して腐食の面積・形状・色等の情報を学習させたモデルを構築した。さらに、気温や降水量等の化学的に腐食進行に影響すると想定される複数の環境データの中から、最適なパラメータを選び出し、画像と一緒にモデルに入力できる構成とした。その結果、画像中の個々の腐食の進行速度を正確に予測できるモデルを確立した。
(詳細は、https://group.ntt/jp)