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世界最小ワイヤレス飛行ロボットを作製

May, 14, 2025, Berkeley--UC Berkeleyのエンジニアは、世界最小のワイヤレス飛行ロボットを作製した。
マルハナバチが花から花へと飛び回るように、UC Berkeleyのエンジニアが作製した昆虫に触発された新しい飛行ロボットは、ホバリングしたり、軌道を変更したり、小さなターゲットに命中したりすることさえできる。直径1cm未満、重量はわずか21mgで、飛行制御が可能な世界最小のワイヤレスロボット。

「ミツバチは、ナビゲーション、ホバリング、受粉など、同規模の人工飛行ロボットにはない優れた航空能力を発揮する。この飛行ロボットは、指定されたターゲットに接近して命中するようにワイヤレスで制御できる。これは、ミツバチが蜜を集めて飛び去る受粉のメカニズムを模倣している」と、UC Berkeley機械工学特別教授Liwei Linは説明している。
Linは、Science Advances誌にオンラインに掲載されたロボットについて説明した新しい論文の筆頭著者。

ロボットが飛行するためには、バッテリーなどの電源と飛行制御用の電子機器を装備する必要があるが、どちらも非常に小型で軽量なデバイスに統合するのは難しい場合がある。この問題を解決するために、LinとUC Berkeleyチームは、外部磁場を使用してデバイスに電力を供給し、飛行経路を制御した。

ロボットは小さなプロペラのような形をしており、2つの小さな磁石が含まれている。外部磁場の影響下で、これらの磁石は引き付けられて反発し、プロペラが回転し、ロボットを地面から持ち上げるのに十分な揚力を生成する。磁場の強さを調節することで、ロボットの飛行経路を精密に制御することができる。

次に大きなロボットで、同様の飛行能力を持つロボットは直径2.8cmで、新しい飛行ロボットの約3倍の大きさである。

「小型飛行ロボットは、小さな空洞やその他の複雑な環境を探索するのに便利だ。これは、人工受粉やパイプの内側などの小さなスペースの検査に使用できる」と、研究の共同筆頭著者、最近UC Berkeleyで工学のPh.Dを取得したFanping Suiはコメントしている。

現在、ロボットは受動的な飛行しかできない。つまり、飛行機やより高度なドローンとは異なり、現在の位置や軌道を検出するセンサが搭載されておらず、リアルタイムで動きを調整することはできない。そのため、ロボットは正確な飛行経路を持つことができるが、強風などの環境の急激な変化により、ロボットはコースから外れる可能性がある。

「将来的には、ロボットの姿勢と位置をリアルタイムで変更できるアクティブコントロールを追加するつもりだ」と、この研究の共同筆頭著者であり、Liwei Lin研究室の大学院生Wei Yueは話している。

ロボットの操作には、電磁界コイルによって提供される強力な磁場も必要。しかし、ロボットの直径を1mm未満(ブヨとほぼ同じサイズ)にさらに小型化することで、電波などのはるかに弱い磁場で制御できるほど軽量になる可能性がある。

マルハナバチにインスパイアされた新しいロボットに加えて、Linのチームは、ゴキブリにインスパイアされたロボットも作成した。ゴキブリにインスパイアされたロボットは、床を駆け抜けて人間に踏まれても生き残ることができる。そして、Yueは、アリのように協力して、個々のロボットだけでは達成できないタスクを達成できる新しい「群れ」ロボットに取り組んでいる。

「私は、這ったり、転がったり、回転したりできる5㎜スケールのロボットを使っている。また、それらは一緒に働いてチェーンや配列を形成したり、さらに難しい作業を行うこともできる。低侵襲手術に使用できる可能性がある。と言うのは、体内に多数の注射をして、ステントの形成、血栓の除去、またはその他のタスクを実行するために協力させることができるからだ」とYueは話している。