May, 12, 2025, Berkeley--今日、ほぼすべての個人用電子機器は、データの送受信をアンテナに依存している。実際、最新の5G/6Gネットワーク、高度なウェアラブルデバイス、キューブサットなどの航空宇宙アプリケーションなど、新しいアプリケーション向けの軽量アンテナの需要も高まっている。しかし、標準的な製造技術では、構造の複雑さや複数の材料の使用が制限されており、アンテナからさらに多くの機能を引き出すことができた。
現在、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)材料科学工学科の准教授、バークレーセンサおよびアクチュエータセンタ(BSAC)とジェイコブスデザインイノベーション研究所(Jacobs Institute for Design Innovation)の共同ディレクタXiaoyu(Rayne)Zhengが率いるチームは、「アンテナ設計における比類のない柔軟性と、複雑なアンテナ構造の迅速なプリント能力」を提供する新しい3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリングプラットフォームを開発した。
Nature Communications誌の最新号で報告されているように、電荷プログラムマルチマテリアル3Dプリンティング(CPD)と呼ばれる新しいプラットフォームは、ほぼすべての3Dアンテナシステムを迅速に生産するためのユニバーサルシステムである。様々な誘電体材料を使用した導電性の高い金属を3Dレイアウトにパターン化できる。
Zhengは、このプラットフォームは、高価な金属粉末や高エネルギーレーザを含む高価な金属3Dプリンタではないと強調した。「この技術は、デスクトップに適した光ベースのプリンタに適用可能である」と同氏はコメントしている。
CPD法は、デスクトップデジタルライト3Dプリンタと触媒ベースの技術を組み合わせたもので、様々なポリマを様々な場所でパターン化し、金属メッキを引き付けることができる。その自己触媒または選択的メッキ技術により、ポリマは、目的のアンテナ設計結果によって定義される所定の位置に金属イオンを選択的に吸収することができる。
Zhengによると、CPDは、様々なマルチマテリアル3Dプリンティング方法と幅広く統合できる。「複雑な格子を含む、基本的にあらゆる複雑な3D構造を可能にし、磁性材料、半導体、ナノ材料、およびこれらの組み合わせだけでなく、ほぼ原始的な導電性を持つ銅の堆積を実証している」(Zheng)。
Zhengは、同氏のグループが最初にコンセプトを思いついた2019年からCPDプラットフォームに取り組んできた。2020年、チームはこの技術に関する最初の論文をNature Electronicsに発表し、続いて2022年にScience誌に論文を発表し、マイクロロボットの製造にこの技術を使用したことについて説明した。
この最新の論文は、アンテナアプリケーションに特化したものである。Zhengによると、CPDは「ほぼすべてのアンテナに2つのコンポーネントが必要で、1つは金属相、導体、もう1つは導電体ではない誘電体相であり、(これまで)導体と誘電体材料を直接パターニングまたは合成できる技術はなかった」
Zhengの説明によると、チームが最初に検討したアプリケーションはアンテナであった。この分野を専門とする同僚とこの技術について話し合った結果、この技術がアンテナのプリンティング方法に革命をもたらし、多くの新しい設計の可能性を開く可能性があることに気付いた。
導体(金属)と誘電体材料の両方をプリントすることは、極端な環境で使用されるアンテナにとって特に重要である。例えば、Zhengは「宇宙では通常のポリマを使用することはできない。カプトンのような高温ポリマは、航空宇宙分野で優れた材料だ(非常に高い温度と非常に低い温度の両方で安定している)。今では、Kaptonと金属トレースのパターンを同時に3Dで織り交ぜることができる。」
また、適切な3D設計により、これらのアンテナはかさばる基板の上に座ることなく、現在のアンテナと比較して大幅な軽量化を達成することも示した。
共著者UCLAの電気およびコンピュータ工学教授、Yahya Rahmat-Samiiは、CPDプラットフォームが新しいアンテナ技術の可能性を大幅に拡大し、データドライブ設計を可能にすると考えている。「おそらく、考えているアプリケーションに応じて、多数の異なるアンテナ構造がある」(Yahya Rahmat-Samii)。
ZhengとRahmat-Samiiは次に、新しい3Dプリントアンテナ技術で達成可能なアンテナ設計の複雑さを探求したいと考えている。アンテナの複雑さを制御することで、画家がブラシで塗料の塗布を制御するのと同じように、アンテナは電磁波を形作る能力を制御できる。この技術の応用を進めるために、UC Berkeleyチームは、たとえば手の形に適合する柔軟な医療用センサに焦点を当てたスタートアップ企業を設立した。
「調整可能なアンテナを実現できる。そこで問題となるのは、その技術がどこでわれわれを最も助けてくれるのかということだ」とZhengは話している。