April, 28, 2025, Cambridge--ハーバード大学SEASの研究者は、波長、偏光を同時に測定できる世界初の光学センサーを開発した。
捻れた(twisted) moiréフォトニック結晶(光学メタマテリアルの高度なタイプ)は、より小さく、より高性能で、より強力な光学システムを設計する競争において、大きな可能性を示している。それらはどのように機能するか。
ストライプやチェッカーなどの規則的なパターンの生地が2枚あると想像してみる。2枚の生地を直接重ねると、それぞれのパタンがはっきりと見える。しかし、1枚の生地を少しずらしたり、捻ったりすると、元の生地のいずれにもなかった新しいパターンが浮かび上がる。
Twisted moiréフォトニック結晶では、層がどのように捻れて重なり合うかによって、材料が光と相互作用する方法が変わる可能性がある。ねじれ角度と層間の間隔を変更することで、これらの材料を微調整して、光の様々な側面を同時に制御および操作できる。つまり、光の位相、偏光、波長を同時に測定するために通常必要な複数の光学部品を1つのデバイスに置き換えることができる。
とは言え、研究チームは、Twisted moiréフォトニック結晶を、層間のねじれと距離をリアルタイムでアクティブに制御できるデバイスに組み込むことができず、そのアプリケーションは大幅に制限されていた。
今回、ハーバード大学ジョン・A・ポールソン工学応用科学大学院(SEAS)の研究者は、スタンフォード大学およびカリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)と共同で、MEMS技術を使用して結晶層間のギャップと角度をリアルタイムで制御するオンチップツイストモアレフォトニック結晶センサを開発した。センサは、詳細な偏光と波長の情報を同時に検出して収集できる。
この研究はNature Photonicsに掲載され、全米科学財団、DARPA、米国空軍科学研究局、米国海軍研究局から資金提供を受けている。サンプルの作製は、National Nanotechnology Coordinated Infrastructure Networkのメンバーであり、National Science Foundationの支援を受けているハーバード大学ナノスケールシステムセンタで行われた。
「Twisted moiréフォトニック結晶は、高度に調整可能な光学特性、正確な光制御、コンパクトでスケーラブルな設計、および様々な高度なフォトニック技術にわたる幅広い応用の可能性を提供するため、より小さく、より強力な光学システムのエンジニアリングに有望である」と、SEASのBalkanski物理学および応用物理学の教授、論文の上級著者Eric Mazurは話している。
「われわれの研究は、正確な制御を行い、汎用性の高い光操作や情報処理タスクに適した包括的なフラット光学デバイスを作成するためのスケーラブルな道筋を確立することで、これらの材料がどれほど強力になるかを示している」と、SEASのポスドクフェロー、研究の筆頭著者Haoning Tangはコメントしている
ハーバード大学のデバイスでは、フォトニック結晶の層が垂直アクチュエータと回転アクチュエータ上に配置され、電極に接続されている。デバイス全体のスケールはわずか数ミリメートルで、CMOS互換プロセスを使用して製造できるため、標準的なファウンドリのナノファブリケーションプロセスを使用して大量生産できる。
研究チームは、アクチュエータを使用してフォトニック結晶の層の距離と回転位置を変更することで、ハイパースペクトルイメージングとハイパー偏光イメージングを同時に実行できることを実証した。即ち、センサによってキャプチャされた全てのピクセルには、電磁スペクトル全体からの情報と偏光状態に関する詳細な情報が含まれていた。これは、光の複数の特性に関するこのような詳細な情報を実証するアクティブチューニングを備えた最初のデバイスである。
「これらのデバイスは、量子コンピューティング、データ通信、衛星、医療スキャンなど、光と色に関する鮮明な画像と詳細な情報を取得することが非常に重要な多様なアプリケーションに使用可能である」(Tang)。
将来的には、これらのデバイスは、さらに自由度の高いアクチュエータなど、さらに複雑なチューニング機能を備えて作られる見込である。