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ビーム数を倍増する衛星通信機用無線チップを開発

April, 17, 2025, 東京--東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 未来産業技術研究所の加藤星凪大学院生、白根篤史准教授の研究グループ、および同 工学院電気電子系の戸村崇助教、岡田健一教授らは、衛星搭載用の通信機において従来の2倍のビーム数を制御可能な無線チップの開発に成功した。
これまでの無線チップでは、衛星通信で利用される右旋および左旋の2種類の円偏波の信号に対して独立にビーム制御を行うことが困難だった。今回新たに「スイッチ型90度カプラ回路」を考案し、チップ内部で2種類の円偏波の信号をそれぞれ取り出し、独立に位相制御を行う集積回路を、シリコンCMOSプロセスを用いて独自に開発したことで、2倍のビーム数の制御を可能にした。

今回開発した無線チップは、SpaceX社のStarlink等の高速衛星通信でも利用されているKa帯で動作し、衛星搭載用通信機のプロトタイプに搭載した。実際にOTA測定評価を行い、提案する2種類の円偏波に対するビーム制御、および衛星通信の基本性能を確認し、技術の有効性を確認した。今後、この無線チップを搭載した衛星通信機を利用することで、より高速に、より広いエリアで多くの人々が利用できる衛星通信が可能となる。

研究成果は、2月16日(米国太平洋時間)から米国サンフランシスコで開催された国際会議「International Solid-State Circuits Conference 2025」で発表された。
(詳細は、https://www.isct.ac.jp)