March, 26, 2025, Washington--中国浙江大学の研究者たちは初めて、高速レーザ描画を使用して、ガラス基板上にわずか100 nm間隔の線を作成した。最適化されたプリンティングアプローチにより、マイクロレンズ、フォトニクス結晶、マイクロ光学デバイス、メタマテリアルなどの超解像3Dダイレクトレーザ描画(DLW)が可能になる。
DLWは、集束レーザビームを使用して、ナノスケールの精度で材料を選択的に固化または重合する積層造形(AM)技術である。DLWは通常、マルチフォトン重合を使用して、材料を正確な3D方式で重合する。
「DLW中に強いレーザ光が近くの領域に望ましくない露光を引き起こす可能性があるため、解像度(隣接する2つのフィーチャ間の最小距離)を上げることは困難である。しかし、独自のデュアルビーム光学装置と特殊なフォトレジストを使用することで、この課題を克服し、超解像DLWを実現することができた」と、中国の浙江研究所と浙江大学の研究チームのメンバーであるQiulan Liuは説明している。
Optica Publishing GroupのジャーナルOptics Lettersで、研究チームは新しいアプローチについて説明し、記録破りの100nmの横方向解像度が100µm/sのプリンティング速度で達成できることを示している。さらに高速な1000µm/sの描画速度を使用した場合も、120nmの横方向の分解能を達成できる。
「われわれのDLW技術のエキサイティングなアプリケーションの1つは、仮想現実または拡張現実ディスプレイ用の光導波路デバイスを、正確かつ高解像度の構造化でプリントすることだ。この高速かつ高精度なアプローチにより、次世代の没入型技術の性能に不可欠な複雑な光学素子の迅速な製造が可能になる」(Liu)。
架橋結合の縮小
新しい研究では、マルチフォトンDLWと、レーザ照射領域のエッジで重合を抑制するために阻害ビームを使用する末梢光阻害付きDLWの両方を用いた実験を行った。
チームは、PETAとして知られる一般的に使用されるモノマとBis(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1-オキシル)セバセート(BTPOS)を組み合わせたフォトレジストシステムを開発した。BTPOSは、DLWを使用して高解像度のラインパタンをプリントする際に発生する可能性のある架橋を減らすのに役立ラディカルクエンチャとして機能した。
光学的セットアップには、励起光源として525nmのフェムト秒レーザと、抑制に使用される532nmのピコ秒レーザが含まれていた。フェムト秒レーザは、ピコ秒遅延ユニットを介してピコ秒レーザをトリガーし、2つのビームの光路差により2700psの遅延が発生する。抑制ビームは、不要な重合を防ぎ、目的のパターンが高分解能かつ高精度で形成されることを保証する。
「高解像度を実現するために、空間光変調器(SLM)を使用して励起光と抑制光を変調し、SLMにゼルニケ多項式を適用して波面収差を補正した。また、レーザフォーカスアライメント、レーザ出力の変動、光学系のドリフト、励起ビームと抑制ビームに起因するメモリー効果を考慮して、システム全体が非常に安定していることを確認する必要があった」(Liu)。
微小構造物のプリント
研究チームは、最適化されたDLWアプローチの速度と解像度を実証するために、いくつかの実験を行った。また、横方向のロッド間隔が300nmから225nmの小さな3Dウッドパイルも作製した。木材層間の最小軸周期は318nmで、回折限界の軸方向分解能320nmに達した。この回折限界は、レーザ波長とレーザビームを集束する光学系の能力によって決まる。
研究チームは現在、高い描画品質と解像度を維持しながら、10mm/sと100mm/sの速度に到達することを目標に、書き込み速度のさらなる向上に取り組んでいる。また、DLW技術をより安定して実用的にするために、フォトレジストシステムを改善したいとも考えている。