March, 26, 2025, Tempe--ASUは、生物医学研究、再生可能エネルギー、コンピューティングを進歩させるために、世界初の小型X線自由電子レーザ(XFEL)を構築している。
レントゲンは、骨折などの隠れた問題を診断するために、人体の内部を観察することができる。近年のX線の進歩により、原子や分子のスケールでの事象を見ることが可能になり、再生可能エネルギーや高度なコンピューティングのための新薬や新材料のターゲットが明らかになっている。
X線自由電子レーザ(XFEL)と呼ばれる発明は、生命分子がリアルタイムで展開する化学反応にまったく新しい窓を開いた。この技術とそれが提供する基本的な洞察は、新しいガン治療薬、ウイルスのパンデミックに対抗する薬、強力な量子コンピュータの開発を加速させるのに役立つと期待されている。
しかし、莫大なコストがかかるため、アクセスが制限されている。最初のXFELの建設には約10億ドルの費用がかかり、原子を破壊する巨大な、キロメートルの長さの粒子加速器施設が必要だった。世界中に存在するXFEL装置は10未満である。
アリゾナ州立大学(ASU)は、世界初のX線自由電子レーザ(CXFEL)のコンパクトバージョンの革新と開発に着手した。劇的に小型で安価なこのガレージサイズの装置は、生化学、マイクロエレクトロニクス、バイオエネルギーアプリケーション、創薬と開発、量子コンピューティングなどに重要な原子スケールのイベントを研究者が探求する機会を拡大する見込である。
「これは、多くの機関がわれわれの足跡をたどり、科学のブレークスルーのための新しい手段を提供することを可能にする新しいパラダイムの始まりであると信じている」と、ASUのCXFELプロジェクトを率いるWilliam Gravesはコメントしている。
このコンパクトなアプローチは、電子を光速近くまで加速し、構造化して強力なレーザビームと衝突させることで、コヒレントX線の指向性の高いビームを生成し、長波長の光では見えない原子スケールの詳細にアクセスできる。CXFEL装置は、100万分の1秒、即ちフェムト秒のスケールで非常に短いX線パルスを発射する。高速撮影のストロボ照明のように、このつかの間のX線パルスは、電子や原子の超高速の動きを捉えることができる。
CXFELプロジェクトは、バイオデザイン研究所のC棟の地下にあり、2つの光源で構成されている。1つ目はコンパクトX線光源(CXLS)と呼ばれ、ASUの研究インフラストラクチャへの投資と、故Leo Beusと同氏の妻Annette Beusの寛大な貢献から生まれた。これらの戦略的な早期投資により、2023年、ASUは全米科学財団(NSF)から5年間の9,080万ドルの賞を受賞した。これは大学史上最大のNSF研究賞であり、世界初のコンパクトXFEL光源としてCXFELを建設し、完成させた。この2つの装置を組み合わせることで、最先端のX線科学のための国立研究所レベルのユーザ施設が可能になる。ASUのMichael M Crow学長は、これはこれまでで最も重要なASUの研究プロジェクトの1つであり、「世界の壮大な課題に関連する多くの重要な分野でプラスの影響を与えるものである」とコメントしている。
ASUの科学者たちは、CXLS光源の試運転を完了し、複雑な生体分子と量子材料の構造とダイナミクスを記録するためにそれを使用し始めている。この最新のマイルストーンは、主要な出力、安全性、および運用パラメータがすでに成功裏に満たされていることを意味し、安定した電子ビームと超短X線を生成する機器の能力により、今年後半にASUや他の科学者向けの最初の測定が開始される。
この光源は、幅広い基礎科学と応用を前進させる。「たとえば、ウイルスが細胞に結合する様子を動画化し、ウイルスが細胞に侵入するすべてのプロセスを視覚化することは極めてエキサイティングだ」とASUの科学者Petra Frommeは話している。このような情報は、将来のパンデミックに対して人類が周到に備えるために重要になる。
「別の例は、ガン細胞が免疫系による破壊からどのように隠れるかを見ることだ」と、応用構造発見のためのバイオデザインセンターのディレクタ、分子科学部のリージェント教授、Petra Frommeは話している。これにより、ガン治療の新たな波が到来する可能性がある。
CXFEL技術は、研究者が再生可能エネルギー研究、量子技術、半導体の研究と製造を進めるのにも役立つ。
「将来のCXFELで数フェムト秒、またはさらに短い軟X線パルスが発生する可能性は特にエキサイティングである。それらによってわれわれは、物質の化学反応と量子相関に関与する最も基本的な電子の動きを観察し、解き放つための「時間顕微鏡」を獲得できる」と、ASUの物理学部の教授であり、CXFELのユーザ施設への移行を主導するRobert Kaindlは話している。