March, 25, 2025, Cambridge--ハーバードSEASの研究者は複数の形状を単純な材料にエンコードする。
液晶エラストマは、光や熱などの刺激に反応して形状が変化するソフトマテリアルの一種であり、ソフトロボティクス、ウェアラブルデバイス、バイオメディカルデバイス、スマートテキスタイルなどの用途に有望である。しかし、たった1つの刺激に反応して異なる形状に変化する組成的に均一なエラストマを設計することは困難であり、したがってこれらの潜在的に強力な材料の適用は制限されていた。
現在、 SEAS(SEAS)の研究者Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciencesは、加熱するだけで反対方向に変形可能な液晶エラストマをプログラムする方法を開発し、様々なアプリケーションを切り開いている。
この研究は、Scienceに掲載された。
「われわれは、単一の材料内で複数の相転移をコード化することで、複雑な設計や複合材料を必要とせずに、様々な変形や形状変化を実現できるスケーラブルで製造が容易なシステムが作成可能なことを示した」とJoanna Aizenbergはコメントしている。同氏は、エイミー・スミス・ベリルソン材料科学教授、SEAS化学・化学生物学教授、論文の上級著者。
チームは、理論モデリング、化学的変成、およびポリマ-ポリマ相互作用のメカニクスを組み合わせたアプローチを使用して、システムを設計した。チームはまず、液晶モノマを結合させてポリマ鎖を形成することを、磁場中で一方向に配向させることから始めた。長い分子テールと長いリンカーで設計されたモノマは、時計の振り子のようにポリマ鎖の側面にぶら下がっていた。
紫外線にさらされると、配向した分子がつながれてポリマ鎖を形成する。重合のプロセスは、材料に収縮して歪をかけ、それらの整列したモノマをジグザグの山形のポリマパターンに押し込む。
研究チームは、温度を上げると、これらのシェブロン(山形)状のポリマが平らになり、平らな層に積み重なることを発見した。さらに温度を上げると、これらの層はスパゲッティの山のようにランダムに巻かれた状態に変化した。温度を下げると、ランダムなポリマは平らな層に再形成され、その後シェブロンに戻った。
「ソフトアクチュエータでは、変形を何度も何度も繰り返せるように、変形を可逆的にする必要がある。さらに、これら3つのフェーズを高い周波数で切り替え、各変形状態間をすばやく移動できることを実証した」と、Aizenbergの研究室のPh.D候補者、論文の共同筆頭著者であるMilan Wilbornは話している。
また、重合に先行して分子を異なる方向に整列させることで、材料に様々な形状変化をコード化できることも示した。これには、サドルやドームに変形するアカエイやクラゲのヒレのように動く平らなシートが含まれる。
「この研究で非常に強力なのは、逆の変形を達成できる単一の柔らかい材料があることだ。したがって、室温では、材料はフラットであり、ポリマがフラットな層に積み重なるとサドルを形成し、ポリマがランダムになるとドームに変わる。これらの材料を生体模倣運動のソフトアクチュエータとして使用することに、われわれは実に胸が高鳴る思いだ」(Wilborn)。
これらの変換は、温度だけでなく、光や溶剤にも反応するため、スマートテキスタイルから温度調節ロボットスキンまでのアプリケーションに役立つ。