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量子セキュアクラウドと量子コンピュータの統合実証に成功

March, 25, 2025, 東京--情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所(理研)、大阪大学量子情報・量子生命研究センター(QIQB)及び株式会社QunaSys(QunaSys)は、NICTが整備して研究開発及び運用を進めている量子セキュアクラウドと理研が中心となって開発した国産ゲート型量子コンピュータを接続し、国産ゲート型量子コンピュータを安全に利用するための相互接続環境を構築した。
量子セキュアクラウドのユーザが国産量子コンピュータ機能を利活用でき、生み出されたデータを安全に伝送・保管できることを実証した。
今後、NICT、理研の各拠点のトライアルユーザ双方に機能を提供し、ノウハウやニーズの共有を含めた交流を深め、量子技術の社会実装の加速に貢献していく。

NICTと理研がそれぞれ主導する研究開発チームの協力により、量子セキュアクラウドが構築されているNICTの東京QKDネットワークと理研の量子コンピュータを相互に接続する環境を構築した。これにより、量子コンピュータを遠隔地から利用する際の通信に量子暗号技術を用いることが可能になった。例えば、個人の遺伝子情報は極めて高い秘匿が要求される個人情報であるため、絶対に他人に盗み見られることがないようにすることが肝要である。このように秘匿性の高いデータを量子コンピュータで処理する際には、その入出力を傍受されないようにする必要がある。さらに、そのような付加価値の高い情報を超長期に安全に保管する必要がある。

今回の実証では、東京QKDネットワーク上の鍵管理システムから供給された鍵を利用し、ユーザは完全秘匿通信路を介して理研の量子コンピュータを操作することが可能になった。今後は、NICTと理研の間でQKDリンクを定常的に運用することにより、東京QKDネットワーク上に構築している量子セキュアクラウドに安全に保管したデータを量子コンピュータで処理し、その処理結果を量子セキュアクラウドに再び保管することで、通信内容の傍受を不可能とし、重要なデータを絶対に盗み見られることなく、かつ、従来の古典的なコンピュータでは実現できなかったような高速なデータ演算処理が可能になるための道筋が切り拓かれた。