March, 18, 2025, 神戸/京都--神戸大学大学院工学研究科および島津製作所の研究グループは、ロボットやAIなどを活用した自律型実験システム(Autonomous Lab)のプロトタイプを開発して、細胞培養から前処理、測定、分析、仮説立案を自律的に繰り返し実行させる実証実験を行い、有用性の実証に成功した。
同システムは、世界初のロボット対応液体クロマトグラフ(LC)および液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を含む。ベイズ最適化(未知の関数を推定する機械学習の手法)を用いて、バイオテクノロジー実験と科学的仮説構築の繰り返しを効果的に実行する。
島津製作所は、2021年から同システムを、神戸大学統合研究拠点内のバイオファウンドリー実験室(神戸市中央区港島南町)に設置し、共同研究を進めてきた。
研究成果は、2025年2月24日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載された。
論文の要約
研究では、ロボティクスと人工知能(AI)をベースとしたバイオテクノロジー実験を行い、科学的な仮説を立てるためのシステムである自律ラボ(ANL)を開発した。このシステムは、モジュール式デバイスとベイズ最適化アルゴリズムを使用して設計されているため、培養から前処理、測定、分析、仮説の策定までの閉ループを効果的に実行できる。ケーススタディとして、ANLを使用して、グルタミン酸を過剰に産生する組換え大腸菌株の培地条件を最適化した。その結果、われわれの自律システムは、サンプル調製やデータ測定などの実験技術を成功裏に再現し、細胞増殖速度と最大細胞増殖の両方を改善したことを実証した。
ANLは、バイオプロダクションの分野における様々なアプリケーションに対応する汎用性と拡張性に優れたソリューションを提供し、将来的には実験プロセスの効率と信頼性を向上させる可能性を秘めている。
(詳細は、https://www.nature.com/articles/s41598-025-89069-y)