Science/Research 詳細

走行中の自動運転センサを長距離から無効化できることを発見

March, 6, 2025, 東京--慶應義塾大学理工学部電気情報工学科の吉岡健太郎専任講師、同大学院修士課程の速川湧気、鈴木諒らと、カリフォルニア大学アーバイン校のアルフレッド・チェン助教授、同大学院博士課程の佐藤貴海は共同で、自動運転車両のLiDARセンサシステムにおける新たな脆弱性を発見した。
研究チームは、高速走行中の車両のLiDARセンサが長距離から無効化可能であることを世界で初めて実証し、安全な自動運転の実現に必要な対策を提示した。

自動運転技術はわれわれの未来社会を大きく変革するポテンシャルを秘めているが、その安全性の向上が不可欠である。研究では、高速走行車両のセンサを追従可能なシステムを開発し、60km/hで走行中の車両に対して110m離れた地点からセンサを無効化できることを確認した。また、最新のLiDARセンサに対しても、既存の防御機能を回避できる新たな手法を発見した。さらに、オープンソース自動運転ソフトウェア(Autoware)を搭載した車両での実証実験により、センサの無効化が衝突リスクやシステム停止につながる可能性があることを明らかにした。この研究成果は、自動運転車両のセンサセキュリティの重要性を示すとともに、より強固な安全対策の開発につながる重要な知見を提供する。

研究成果は、2025年2月24日~27日に開催中のセキュリティ分野のトップ国際会議「Network and Distributed System Security (NDSS) Symposium 2025」に採択され、2025年2月21日に論文がオンライン掲載された。
なお、今回明らかになった脆弱性については各LiDARメーカーに共有し、一定の対策期間を経てこの研究成果を公開している。