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金属3Dプリンティングによる高機能な生体用インプラント材開発を加速

March, 6, 2025, 大阪--大阪大学 大学院工学研究科の多根正和教授、中野貴由教授らの研究グループは、金属3Dプリンティング(3DP)によって作製される造形物について、その単結晶弾性率を高精度に解析可能な弾性場の逆解析(inverse Self-consistent近似)モデルを構築した。これにより、3DP造形物の弾性率制御に不可欠なキーパラメータである造形物中のミクロンスケール単結晶の弾性率を高精度で決定した。

研究では、金属3DPによって作製した生体用βチタン合金(Ti-15-5-3)に対し、①共鳴超音波スペクトロスコピー法による数ミリメートルの造形物(~4x4x4立方ミリメートル)のマクロな弾性率の精密計測、および②電子後方散乱回折法を用いた造形物中のミクロンスケール結晶(~100µm)の配向分布(向きの分布)・形状解析を実施した。さらに、造形物のマクロな弾性率を解析することで、造形物中のミクロンスケール単結晶の弾性率を高精度で解析可能な機械学習(非線形重回帰分析)に基づいた弾性場の逆解析モデルを構築した。この逆解析モデルを用いて、3DP造形物のマクロな弾性率に対して、ミクロンスケール結晶の配向分布および形状の情報を利用した逆問題解析を実施した。これにより、造形物中のミクロンスケール結晶と同じ状態の数ミリメートルの大きな単結晶の育成を必要とせずに、Ti-15-5-3造形物中のミクロンスケール単結晶(~100µm)の弾性率を世界に先駆けて決定した。

その結果、3DPを利用して作製される生体用チタン合金造形物中には、高温からの急速な冷却(超急冷)によって元素偏析および高ヤング率を示す六方晶構造相の形成が抑制されることに起因して、低ヤング率を示す理想的な体心立方構造の単結晶が形成されることを明らかにした。
この成果を利用することにより、金属3DP造形物の力学物性(弾性率、強度など)のキーパラメータである造形物中の単結晶弾性率を高精度で解析可能になる。この成果を生体用チタン合金開発に適用することで、骨質劣化の抑制に有効な低ヤング率を示す高機能インプラント材の開発が加速的に進展するものと期待される。

研究成果は、Elsevier発刊の材料科学のトップ級ジャーナル「Additive Manufacturing」誌(IF10.3)に2025年2月27日(木)(日本時間)に公開された。

(詳細は、https://www.jst.go.jp/pr/announce/20250227-2/index.html)