February, 7, 2025, 東京--KDDIとKDDI総合研究所は2025年1月6日、暗号解読コンテスト「Challenges for code-based problems」において、次世代暗号として米国で標準化が進められているBIKE(Bit Flipping Key Encapsulation)およびHQC(Hamming Quasi-Cyclic)の3602次元(鍵の長さ)の暗号解読に世界で初めて成功した。
両社は、1409次元のClassic McElieceの安全性も検証しており、今回の成果と合わせて、耐量子暗号の米国標準の最終候補である符号暗号3方式の安全性検証を完了したことになる。
一連の成果は、これらの符号暗号が耐量子暗号として成り立つ次元を精緻に見積もるための指標を明らかにしたもので、安全な鍵の長さの選択や適切な鍵の交換時期を試算する技術的根拠として、日本を含む各国の政府機関や国際標準化機関において活用される。
量子コンピュータの普及により、将来的に現在の暗号技術の安全性が脅かされる可能性があるなか、一連の成果は量子コンピュータでも解読困難な次世代暗号の実用化に貢献する。
今回の成果
KDDIとKDDI総合研究所は、フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)が主催する暗号解読コンテスト「Challenges for code-based problems」に挑戦し、耐量子暗号として標準化が進められている暗号方式BIKEおよびHQCの3602次元の暗号解読に世界で初めて成功した。
3602次元の暗号は10の131乗通りの解の候補が存在し、総当たりによる探索では解読に1兆年以上かかるため、解読困難とされてきた。両社は、独自の解読アルゴリズムにより解の候補を10の10乗(=100億)通り程度に絞り込むことで解読の難しさを引き下げた。さらに約8,000万の解読処理を同時に実行できる並列コンピューティング環境を構築、活用することで、3602次元のBIKEとHQCを63.5日で解読した。この解読の結果を通じ、3602次元のBIKEとHQCの暗号の解読に要する計算量が2の69乗であることを実証し、その暗号の強度を突き止めたことになる。
今後の取り組み
両社は、引き続き暗号解読コンテストへの挑戦を通じて、耐量子暗号の国際標準化、実用化に貢献していく。今後も、量子コンピュータの実用化が見込まれる2030年代にも世界中の顧客が安全安心な通信サービスを利用できるように、引き続き研究開発に取り組んでいく。
(詳細は、https://www.kddi-research.jp)