Science/Research 詳細

全反射法を利用した、新しい量子赤外分光装置を実現

February, 4, 2025, 京都--京都大学大学院工学研究科 栗田寅太郎 特定研究員 (研究当時)、向井佑 同助教、田嶌俊之 同特定研究員、岡本亮 同准教授、竹内繁樹 同教授らの研究グループは、島津製作所の徳田勝彦 主任研究員らの研究グループと共同で、表面が平滑でないサンプルをプリズムに押しつけることで測定が可能な、全反射法による量子赤外分光を実現した。
この手法は、様々な試料を簡便に測定でき、また従来困難であった厚みのあるサンプルの測定も可能となるため、より幅広い用途で利用可能な小型でポータブルな量子赤外分光システムの実現が期待される。

電子や光子といった個々の量子の振るまいや、複数の量子間の相関(量子もつれ)を制御することで、従来の計測技術の限界を超える量子センシングの研究が精力的に進められている。特に量子もつれ光を用いた「量子赤外分光」は、可視域の光源と検出器のみで赤外分光が可能になり、分光装置の大幅な小型化・高感度化・低コスト化が期待される技術として注目されている。
しかし、従来の量子赤外分光法では、表面がきわめて平滑なサンプルを準備する必要があるなどの問題があった。

研究成果は、2025年1月28日に米国の国際学術誌「Physical Review Applied」にオンライン掲載された。

(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)