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電子スピンで高速・省電力で制御可能な光メモリの性能を実証

January, 30, 2025, 仙台--東北大学電気通信研究所の横田信英准教授と八坂洋教授、産業技術総合研究所プラットフォームフォトニクス研究センターフォトニクスシステム研究チームの池田和浩研究チーム長と新原理コンピューティング研究センタースピン機能材料チームの揖場聡主任研究員、大分大学理工学部の片山健夫准教授は、面発光レーザ(VCSEL)内部の電子スピンの歳差運動周波数を制御することで偏光双安定性の出現条件が制御でき、これを利用した新しい偏光スイッチング動作が可能であることを実証した。
歳差運動の制御に限らず、電子スピンの電気的制御技術は近年発展しており、光メモリにスピンデバイスの技術を融合した新技術の発展が幅広く期待される。

高速な光を情報処理に活用するフォトニックコンピューティングにおいて、光情報の長期記憶(光メモリ)が実現できれば、情報処理のさらなる大規模化が実現する可能性がある。そのため、偏光双安定性の高速制御が可能な光メモリの一種である面発光レーザ(VCSEL)の利用が期待されている。しかし、VCSELは特定の駆動条件(電流、温度など)において偏光双安定性が得られるかどうかはレーザの材料や構造に依存し、その最適化が難しいという問題があった。

発表のポイント
・面発光レーザ(VCSEL)内部の電子のスピンを歳差運動させ、出力光の偏光状態を調べた。
・互いに直交する2つの安定な偏光状態をもつ偏光双安定性の出現条件を歳差運動の周波数によって制御できることを発見した。
・光情報の長期記憶を獲得した新原理のフォトニックコンピューティングにより、高度情報処理の大規模化などが期待される。

研究成果は、米国物理学協会が発行する学術論文誌 APL Photonics に2025年1月17日にFeatured Articleとしてオンライン掲載された。

(詳細は、https://www.tohoku.ac.jp)