January, 8, 2025, つくば--筑波大学の研究者は、レーザ発光する液滴をインクジェットプリンタで吐出させ、高速かつ大量にレーザ光源を作成する手法を開発し、この液滴に電場を加えることにより、発光のON/OFFの切り替えが可能なことを見いだした。また、この液滴を基板上に並べた小さなレーザディスプレイの作成に成功した。
テレビやパソコン、スマートフォンのディスプレイは絶えず進化しており、画質や鮮明さ、そしてエネルギー効率が日々向上している。その次世代型として期待されているのがレーザディスプレイで、特に輝度と色再現度の面で、有機ELや液晶ディスプレイといった従来の発光素子の原理的な限界を突破することができる。しかしながら、ディスプレイとして利用するためには、現在実現されている以上に素子を微細化し、高密度かつ大量に敷き詰めることが必要になる。
筑波大学の研究者は、インクジェットプリンタで吐出した有機色素を添加したイオン液体の液滴が光励起によりレーザ光を発すること、およびその液滴に電場を印加することでレーザ光のON/OFF切り替えが可能なことを見いだした。液滴の直径は30µmと非常に小さく、また4cm2ほどの大きな領域に高密度かつ大量に敷き詰めることができる。この液滴を電極で挟んで電場を印加したところ、球体の液滴が楕円球体へと変形し、それに伴いレーザ光の放出が止まったことから、この液滴が電気的にスイッチ可能な「レーザピクセル」として振る舞うことが明らかになった。また、この液滴を2×3の配列に並べたデバイスにおいても、各ピクセルのレーザ発光をON/OFFできることが分かった。
今後、電気的なデバイス構成やレーザ性能の向上により、実用的なレーザディスプレイの実現に寄与すると期待される。
(詳細は、https://www.tsukuba.ac.jp)