December, 27, 2024, Washington--Institute for Laser Technologyの研究者たちは、様々な種類のプラスチックをリモートで検出および識別できる新しいハイパースペクトルラマンイメージングLiDARシステムを開発した。この技術は、モニタリングと分析のためのより優れたツールを提供することで、海洋プラスチック汚染の重大な問題に対処するのに役立つ可能性がある。
「プラスチック汚染は、海洋生態系や人間の生活に深刻な脅威をもたらし、漁業、観光、海運などの産業に影響を及ぼしている。海洋環境を管理・保護するためには、プラスチックごみのサイズ、濃度、分布を評価することが不可欠。しかし、従来のラボベースの方法は、多くの場合、時間と労力と費用がかかる」と、日本のレーザ技術研究所の研究チームリーダーであるSomekawa Toshihiroはコメントしている。
Optica Publishing GroupのジャーナルOptics Lettersでは、研究者たちは、コンパクトで低エネルギー消費に最適化されているため、ドローンでの使用に適した新しいシステムについて説明している。その結果、このシステムは、1 mm x 150 mmという比較的広い視野で6メートル離れたプラスチックを識別できることがわかった。
「われわれのLiDARセンサを搭載したドローンは、陸上や海上の海洋プラスチックごみの評価に活用でき、より的を絞った清掃や防止活動への道を開くことができる。このシステムは、危険なガス漏れの検出など、他の監視アプリケーションにも使用可能である」(Somekawa)。
リモート検出の実現
研究チームは以前、フラッシュラマンLiDAR技術に基づく監視システムを実証し、バンドパスフィルタを各測定ターゲットに一致させて連続的に検出するシステムを示した。しかし、この手法は、フィルタを切り替えると瞬時の3D測距と検出が妨げられるため、海洋プラスチックの検出には実用的ではない。
他の研究グループは、ハイパースペクトルラマンイメージングを使用してプラスチック汚染を監視することを検討している。この手法は、ラマン分光法とイメージングを組み合わせて、サンプル全体の空間的に分解された化学情報を取得し、分子組成と構造の詳細なマップを作成する。しかし、従来のハイパースペクトルラマンイメージングでは、装置に近いターゲットしか検出できない。
リモート検出のために、研究チームは距離測定用のLiDARとハイパースペクトルラマン分光法を組み合わせた。そのために、LiDAR測定用のパルス532nm緑色レーザと、ゲート強化CCD(ICCD)を搭載した2Dイメージング分光器を含むプロトタイプシステムを構築した。遠方のターゲットから後方散乱されたラマン信号は垂直線として検出され、各点に含まれるハイパースペクトル情報は水平に記録された。ナノ秒のタイムスケールでゲートできるICCDカメラを使用することは、微細な距離分解能でのラマンLiDAR測定を実現するために不可欠だった。
範囲分解ラマンイメージング
「われわれは、画像と分光測定を同時に取得するようにシステムを設計した。ラマンスペクトルはプラスチックの種類ごとに異なるため、イメージング情報を使用してプラスチック破片の空間分布と種類を理解することができ、パルスレーザにより距離分解測定を可能にするため、任意の距離のターゲットからハイパースペクトル情報を取得できる」(Somekaw)。
研究チームは、上部にポリエチレンシート、下部にポリプロピレンシートからなるプラスチックサンプルでプロトタイプシステムをテストした。このシステムは、6メートル離れた場所から各プラスチックの特性スペクトルを取得し、プラスチックの垂直分布を示す画像を生成することができた。チームによると、スタンドオフ距離6mのICCDカメラで0.29㎜のイメージングピクセルサイズであることは、ハイパースペクトルラマンイメージングLiDARシステムを使用して小さなプラスチックデブリを測定および分析できることを意味する。
次に、チームは、このシステムを使用して、水に浮いている、または水に沈んでいるマイクロプラスチックを監視することを計画している。約532nmのレーザ光は水を効果的に透過し、水生環境での検出が容易になるため、これは実現可能なはずである。