December, 26, 2024, 京都--京都大学電子工学専攻の野田進教授、吉田昌宏同助教、附属光・電子理工学教育研究センターのメーナカ デゾイサ 教授、石﨑賢司 同特定准教授、井上卓也 同助教、坂田諒一 同特定助教らのグループは、従来の半導体レーザにはない高輝度・高機能性を有し、来るべき超スマート社会実現(Society 5.0)への貢献が期待されているフォトニック結晶レーザ(PCSEL)の最近における様々な進展(未発表の極最近の成果をも含む)に関する総説論文を発表した。
超スマート社会(Society 5.0)におけるスマートモビリティ(=ロボットや車の自動運転等)やスマート製造(=デジタル化による自動的かつ効率的なものづくり)の実現に向けて、現在、既存の半導体レーザーの低輝度性や低機能性、また、CO2レーザ、ファイバレーザ等の大型レーザのサイズや低効率性、高コスト性がボトルネックとなっている。研究グループは、これらのボトルネックを解消し、スマートモビリティやスマート製造分野におけるゲームチェンジを起こすべく、大型レーザに匹敵する高輝度性を有し、かつ、外部光学系等を用いることなくビーム走査や様々なビームの生成が可能という高機能性を有する次世代半導体レーザ「フォトニック結晶レーザ(PCSEL)」の研究開発を進めてきた。
この総説論文では、フォトニック結晶レーザの高輝度性、高機能性の最近の大幅な向上に加え、短パルス・高ピーク出力化、短波長化、さらには機械学習との融合によるスマート化などの最新動向を解説している。さらに、その中で、未発表の成果として、大面積(3mmΦ)フォトニック結晶レーザのキロワット級の高ピーク出力パルス動作と、それによる金属表面へのレーザカラーマーキングや、GaN系青色フォトニック結晶レーザを用いた水中における距離センサ(LiDARセンサ)への応用に関する成果についても紹介している。これらの成果は、フォトニック結晶レーザの研究開発の一層の加速と、応用分野のさらなる拡大を促すものと期待される。
研究成果は、2024年12月号の英国科学誌Nature Reviews Electrical Engineeringに掲載され、その表紙を飾った。
(詳細は、https://www.t.kyoto-u.ac.jp)