December, 25, 2024, 名古屋--名古屋大学の研究グループは他大学のグループとの共同研究で、反強磁性体磁化ダイナミクスから生じるスピン流の検出に成功し、これまで知られていなかった反強磁性体におけるスピンポンピング効果によるテラヘルツ波⇒スピン流変換現象の微視的機構を明らかにした。
テラヘルツ波はbeyond 5Gなどの大容量・高速通信を担う周波数帯の電磁波。反強磁性体はその磁気共鳴周波数がテラヘルツ領域にあるため、テラヘルツ波に応答する磁性材料として注目されている。
研究では、反強磁性体α-Fe2O3(酸化第二鉄/ヘマタイト)の二つの磁化ダイナミクスモードに着目し、それらのダイナミクスから生じるスピン流を検出することで、反強磁性体におけるスピンポンピング効果の発現機構を明らかにした。この成果は、テラヘルツ技術とスピントロニクス技術を融合した“テラヘルツスピントロニクス”の核心であるテラヘルツ波⇒スピン流変換を実証し、その機構を解明した極めて重要なマイルストーンとなるものである。
この成果で得られた反強磁性体スピンポンピング効果の理解を基礎として、応用上重要であるテラヘルツ波⇒スピン流変換効率向上を目指す研究への展開や、反強磁性磁化とスピン流の相互作用物理のさらなる理解につながることが期待できる。
研究成果は、2024年12月18日午前1時(日本時間)付国際学術誌『Physical Review Letters』に掲載された。
研究グループと共同研究者
名古屋大学大学院工学研究科の森山 貴広 教授、服部 冬馬 博士前期課程学生、夛田圭吾 学部生らの研究グループは、福井大学遠赤外領域開発研究センター・石川 裕也 講師、藤井 裕 教授、山口 裕資 准教授、立松 芳典 教授、東北大学金属材料研究所・木俣 基 准教授(当時)、木村 尚次郎 准教授、京都大学化学研究所・菅 大介 准教授、東邦大学理学部・大江 純一郎 教授
(詳細は、https://www.nagoya-u.ac.jp)