December, 5, 2024, Madison--ウィスコンシン大学マディソン校の生物医学エンジニアのチームは、非可視光の捕捉に優れた薄型のパターン化されたシリコンベースのコンポーネントを開発し、生化学センサなどの低コスト製造の可能性を開く可能性がある。
Filiz Yesilkoy助教授が率いるグループは、Nature Communications誌の論文で、その「基板のないメタサーフェス」について詳しく説明している。特に、Ph.D学生で共同筆頭著者のWihan AdiとSamir Rosas、および共同研究者たちは、光と物質を結合させてポラリトンと呼ばれるハイブリッド状態にするメタサーフェスの能力を強調している。これらの準粒子は、化学反応性を変化させる可能性のある化学において特に興味深いものである。
メタサーフェスは、Adiによると、いわゆる「ウェーブブレーカー」が水の波を物理的に妨害するのと同じように、電磁波を操作できるように設計された小さなナノスケールの材料である。
「われわれはメタサーフェスを使用して光を閉じ込める。また、光が閉じ込められているため、分子とより長く相互作用することができる」(Adi)。
この場合、波は電磁スペクトルの中赤外範囲にある。可視光よりも波長が長い赤外光は、天文学から医療まで幅広いアプリケーションで有用である。Yesilkoyの研究室は後者に興味を持っている。中赤外光は、侵襲的な標識を必要とせずに、生体サンプル中の様々な分子を明らかにすることができる。
「電磁スペクトルは少し難しい部分である。と言うのは、従来の光学で使用される標準的な材料は使えないからだ。われわれは、主に目に見える波長に関心を持っている」(Yesilkoy)。Yesilkoyの研究は、光学(光の振る舞いや特性の研究)とマイクロファブリケーション、ナノファブリケーションの橋渡ししてバイオセンサ、イメージング技術およびその他の医療診断ツールを開発・改良する研究を行っている。
また、従来中赤外光学系で用いられてきた材料は、脆いか高価なものが多いため、それに依存するデバイスは安価に大量生産するのが難しい。さらに、バイオセンサが数百人から数千人の患者からデータを収集し、医学研究に情報を提供するのに役立つためには、大量生産が不可欠である。
「これらのセンサチップは、量産することでコストを削減し、多様なアプリケーションに適用できるようにする必要がある」(Yesilkoy)。
代わりに、Yesilkoyと同氏の学生たちは、空洞に光を閉じ込める厚さわずか1µmの非常に薄いシリコン膜をパターン化した。チームが中赤外スペクトル範囲でテストしたとき、それが光を非常に効率的に閉じ込め、光がポリマサンプルと相互作用する際にポラリトンが形成されることを確認した。
このグループの技術の能力は、ポラリトン化学という新興分野の研究者にとって興味深いものだが、Yesilkoy研究室の焦点は依然としてバイオセンサである。特に、光と生体分子の相互作用を利用して、卵巣ガンなどの疾患の新たなバイオマーカーの解明を目指している。
Yesilkoy、Adi、Rosasは、継続してメタサーフェスのパターンを微調整し、パフォーマンスを向上させている。
「これがわれわれの最初の研究だった。しかし、今では、光をより適切に制御できる別の設計があり、それはバイオセンシングアプリケーションにより適している。だから、われわれはそこを推進している」とYesilkoyは話している。