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イリノイ大学の研究者、音で光を制御

February, 5, 2015--イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームは、ブリルアン散乱誘導トランスペアレンシー(BSIT)現象を初めて実験的に実証した。
 この現象は、光導波路内の光の速度を遅らせ、速め、ブロックするのに使用することができる。BSIT現象では光は前進するが、後退方向に進む光は強く吸収される。こり非相反的振る舞いは、光学設計者にとって不可欠のデバイスであるアイソレータやサーキュレータの作製にとって重要である。
 研究では、研究チームは、簡単なガラスのマイクロファイバとそれに隣接したガラス球をつかってBSIT現象を実証した。
 ある波長の光は、微小なガラス球のマイクロ共振器によって光導波路から吸収できる。マイクロ共振器は、導波路に密接設置されている。BSIT現象を通して、この不透明性を取り除けることを示した。つまり、特別に波長を選んで隣に別のレーザを加えることによってこの系は再び透明になる」と機械科学・工学准教授、Gaurav Bahl氏は説明した。
 「この効果が起こるのは、光と物質内に存在する音波との相互作用による。また、これはこれまで見られなかった新しい物理過程である。この発見で最も重要な側面は、BSITが非相反現象であることの観察、つまり透明性は片方向にしか生成しない。逆方向では、この系は光を吸収する」。
 現在の非相反光デバイス、アイソレータやサーキュレータは、もっぱらファラデー磁気光学効果を用いて作製する。この方法は、磁界を使って、ある特殊なガーネットとフェライト材で時間反転対称性を壊す。しかし、これらの材料は、従来の工場工程でチップスケールを得るのは難しい。磁界は、冷却原子マイクロシステムなど、多くのアプリケーションで干渉源ともなる。これらの制約が、今日に至るまでオンチップ光システム向けのファラデー効果アイソレータの利用を阻止してきた。
 「われわれは、磁石不要のリニアな光学非相反を得る方法が、フェライトなしで一般的な光学材料系に実装できることを実証した。また、これは現在のどの光学工場でも実装できる。ブリルアンアイソレータは、すでに存在するが、それらは非線形デバイスであり、散乱光のフィルタリングが必要になる。それに対して、BSITは、線形の非相反機構だ」とBahl氏は説明している。
 BSITは、光の群速度をスピードアップしたり、スローダウンすることも可能。物理学者は、これを「ファスト」ライト、「スロー」ライトと呼ぶ。スローライト技術は、量子情報蓄積や光バッファアプリケーションで極めて有用である。いずれ、そのようなバッファが量子コンピュータに組み込まれることになると考えられている。