November, 21, 2024, 大阪--大阪大学大学院工学研究科の大学院生の楠井大晴(研究当時、2024 年3月修了)、上向井正裕助教、谷川智之准教授、片山竜二教授らの研究グループは、作製が容易な周期スロット構造を窒化物半導体レーザに適用することで、青色波長帯において世界で初めて小型で実用的な波長可変レーザを実現した。
片山教授らの研究グループは、これまで窒化物アルミニウムを採用した横型擬似位相整合波長変換デバイスや、SrB4O7非線形光学結晶を垂直微小共振器内に組み込んだ波長変換デバイスにより、波長230 nm以下の第二高調波発生を実証してきた。これらの新規構造デバイスの励起光源として、大型・高価な超短パルスレーザを用いてきたが、小型で実用的な遠紫外光源を実現するためには波長460 nm帯青色半導体レーザが必要になる。
Blu-rayディスク用として開発された青色窒化物半導体レーザは、近年、銅や金などの金属加工に用いられ、また将来のレーザディスプレイへの応用が期待されている。これらのレーザは発振波長を制限する構造を持たず、複数の波長でレーザ発振する。高効率な波長変換デバイスは波長許容幅が非常に狭いため、励起光源として単一波長レーザが望ましいものである。またレーザ発振波長を正確に制御できる波長可変特性も必須。
これまでに比較的荒い周期構造を採用した青色単一波長レーザがいくつか報告されているが、波長可変特性を有するものはなかった。今回、研究グループは、スロットと呼ばれる溝を数mm間隔で形成した周期スロット構造を青色半導体レーザに採用することで、世界で初めて青色波長可変半導体レーザの実現に成功した。このレーザを上記の新規構造第二高調波発生デバイスと組み合わせることで、小型で実用的な遠紫外光源の実現が期待される。
研究成果は、国際科学誌「Applied Physics Express」に、2024年8月12日に公開された。
(詳細は、https://resou.osaka-u.ac.jp)