November, 19, 2024, つくば--産業技術総合研究所(産総研)ゼロエミッション国際共同研究センター 石塚 尚吾 首席研究員は、希少金属インジウムを含まないCIS型薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させる技術を開発した。
現在普及している太陽電池よりも、さらに高性能化が期待できるタンデム型太陽電池においては、「安価」「高性能」「高信頼性(安定性)」の要素をすべて満たす、短波長光吸収用トップセル材料の開発が課題だった。この研究成果では、これらの要素を満たす有望な材料群であるCIS型化合物の中でも、特にトップセル材料として適した、広禁制帯幅という特性を持つ光吸収層の品質を向上させる技術を開発した。今回作製した光吸収層は安定性にも優れ、将来的には安価で高性能、また柔軟性にも優れたタンデム型太陽電池への応用が期待される。
今後の予定
今回開発した技術をさらに改良することで、産総研は、より高効率な太陽電池の実現を目指す。具体的には、広禁制帯幅CIS型薄膜太陽電池のさらなる欠陥低減化や新しい電子輸送層の開発に取り組む。また、裏面電極層を従来の金属電極層から透明電極層に置き換えるなど、タンデム型太陽電池への応用に向けた具体的な設計と試作も行う予定。
将来的には、CIS型やペロブスカイト型など多様な材料の組み合わせから構成される、安価で高性能、かつ長期信頼性にも優れるフレキシブルタンデム型太陽電池の実現を目指す。
この技術の詳細は、2024年11月13日(米国東部標準時)に「ACS Applied Materials & Interfaces」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.aist.go.jp)