November, 18, 2024, 京都--京都大学、湯本郷 化学研究所助教(現:東京大学特任助教)、金光義彦 同教授(現:同特任教授)、若宮淳志 同教授、原田布由樹 同修士課程学生(現:同博士課程学生)、中村智也 同助教の研究グループは、室温で強誘電性を示す二次元ハライドペロブスカイトに電場を印加すると、顕著なカイラル光学効果が生じ、またそれが電場の大きさや向きに応じて連続的・可逆的に制御可能であることを発見した。
従来の研究では、カイラルな結晶構造を電場により変化させることが困難であるために、二次元ナノ材料においてこのようなカイラル光学効果の電気的制御に成功した例はなかった。
研究では、二軸強誘電性を室温で示す二次元ハライドペロブスカイト単結晶を合成し、固体結晶の対称性や強誘電分極方向を第二高調波発生(SHG)の偏光依存性から詳細に決定することができる偏光分解SHGイメージング測定を行った。試料に電場を印加することにより、カイラルな結晶構造を持たないにも関わらず非線形なカイラル光学効果であるSHG円二色性が顕著に生じ、制御可能であることを発見した。さらにその起源が、二軸強誘電性を反映した二つの直交する強誘電分極を持つドメインが混在するマルチドメイン構造が電場印加により生じ、カイラリティが生じるためであることを解明した。
この研究結果は、電場によるカイラリティ制御の新たなアプローチを実証しただけでなく、新奇なナノ光機能の創出やデバイス開発に向けて強誘電二次元ハライドペロブスカイトが有望な材料であることを示した。
研究成果は、2024年11月13日に、国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載された。
(詳細は、https://www.kyoto-u.ac.jp )