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神戸大、国産手術支援ロボット「hinotori」を用いた小児手術に成功

October, 25, 2024, 神戸--神戸大学医学部附属病院小児外科の大片祐一特命准教授らは、国産の手術支援ロボット「hinotori (ヒノトリ)サージカルロボットシステム(hinotori)」を使用して、学童期の患者に対して安全にロボット支援下での副腎腫瘍摘出手術の実施に成功した。
近年、世界各国で様々な手術支援ロボットが開発される中、日本製ロボットの「hinotori」を用いて体格の小さい子どもに手術を行ったのは、今回が世界初である。今後、「hinotori」を用いたロボット支援手術が小児にも導入されることで、小児外科患者の治療の選択肢が広がる。

hinotoriはこれまで泌尿器科や消化器外科、産婦人科、呼吸器外科へと領域を拡げているが、今回、医療チームはこのhinotoriを使用し、小児患者に対する副腎腫瘍摘出手術を世界で初めて成功させた。実際の手術に至る前には、小児ロボット支援手術に関して十分な準備を行った。

まず、hinotoriが狭小空間でも十分に機能することを、メディカロイドとともに新生児や乳児を想定した模擬的な小さな空間における手術操作の精緻性と安全性の検証を行った(Kameoka Y. et al., “Evaluation of the hinotori™ Surgical Robot System for accurate suturing in small cavities”, Journal of Robotic Surgery, DOI: 10.1007/s11701-024-02053-y)。国内企業という強みを生かして正確で密なコミュニケーションを迅速に行い、成し遂げることができた。

実際の患児の手術前には、対象患児の画像データを用いて専用のソフトウェアを用いたポート配置シミュレーションを実施し、hinotoriが対象となる患児の手術においても十分に安全に機能することを確認したのちに、手術を行いった。執刀は国内外で小児ロボット支援手術の執刀経験がある小児外科の大片祐一特命准教授が担当し、腎泌尿器科の亭島淳特命准教授が手術の指導(プロクター)を務め、小児外科の尾藤祐子特命教授および腎泌尿器科の三宅秀明教授らが手術を監修した。手術は安全に行われ、患児の術後の経過は良好である。

(詳細は、https://www.kobe-u.ac.jp)