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新しいレーザやLEDsへの扉を開く原子レベルでペロブスカイト材料をエンジニアリング

October, 22, 2024, Raleigh--NC Stateのり研究者たちは、層状ハイブリッドペロブスカイト(LHPs)と呼ばれる材料を原子レベルまで設計し、材料が電荷を光に変換する方法を正確に決定する技術を開発し、実証した。
この技術は、次世代のプリンテッドLEDsやレーザに適したエンジニアリング材料への扉を開くものであり、太陽光発電デバイスで使用する他の材料のエンジニアリングにも期待が寄せられている。

ペロブスカイトは、その結晶構造によって定義され、望ましい光学的、電子的、量子的特性を持っている。LHPsは、ペロブスカイト半導体材料の非常に薄いシートを、薄い有機「スペーサ」層によって互いに分離したものである。LHPsは、ペロブスカイトと有機スペーサの複数のシートからなる薄膜として敷設できる。これらの材料は、電荷を効率的に光に変換できるため、次世代のLEDs、レーザ、フォトニック集積回路での使用が期待されている。

しかし、LHPsは長年にわたって研究コミュニティの関心を集めてきたが、これらの材料をその性能特性を制御するためにどのように設計するかについてはほとんど理解されていなかった。

研究者が発見したことを理解するには、スペーサ層の間に挟まれた半導体材料のシートである量子井戸から始める必要がある。

「LHPsで量子井戸が形成されていることはわかっていた。それは層である」と、この研究に関する論文の責任著者であり、NC State材料科学および工学の教授、Aram Amassianは話している。

また、量子井戸のサイズ分布を理解することは、エネルギーが分子レベルで高エネルギー構造から低エネルギー構造に流れるため、重要である。

「原子2個分の量子井戸は、原子5個分の量子井戸よりもエネルギーが高くなる。エネルギーを効率的に流すためには、2原子から5原子の厚さの量子井戸の間に、原子3個から4個の量子井戸が必要になる。基本的には、エネルギーが流れ落ちるような緩やかな傾斜を持たせたい」と、論文の共著者、NC State物理学教授Kenan Gundogduは説明している。

「しかし、LHPsを研究している人々は、X線回折で検出できるLHPサンプル中の量子井戸のサイズ分布が、光学分光法で検出できる量子井戸のサイズ分布とは異なるという異常に遭遇し続けていた」(Aram Amassian)。

「例えば、回折によって、量子井戸の厚さは原子2個分であることや、3次元のバルク結晶が存在することがわかるかもしれない。しかし、分光法では、2つの原子、3つの原子、4つの原子の厚さの量子井戸と、3Dバルク相があることを教えてくれるかもしれない」(Aram Amassian)。

「それで、われわれが最初に抱いた疑問は、X線回折と光学分光法の間にこのような根本的な断絶が見られる理由だった。そして2つ目の問題は、LHPの量子井戸のサイズと分布をどのように制御できるかということだった。」

一連の実験を通じて、研究チームは、両方の質問に答える主要なプレーヤ、つまりナノプレートレットが関与していることを発見した。

「ナノプレートレットは、LHPsの作成に使用する溶液の表面に形成されるペロブスカイト材料の個々のシートである。これらのナノプレートレットは、本質的に、その下に形成される層状材料のテンプレートとして機能することがわかった。したがって、ナノプレートレットの厚さが2原子の場合、その下のLHPは一連の2原子の厚さの量子井戸として形成される」。

「しかし、ナノプレートレット自体は、他のLHP材料のように安定していない。それどころか、ナノプレートレットの厚さは増え続け、時間の経過とともに新しい原子層が追加される。したがって、ナノプレートレットの厚さが3原子の場合、3原子の量子井戸を形成する。最終的には、ナノプレートレットは非常に厚くなり、3次元の結晶になる。」

この発見は、X線回折と光学分光法が異なる結果をもたらしていた理由についての長年の異常も解決した。回折はシートの積み重ねを検出するため、ナノプレートレットは検出されないが、光学分光法は孤立したシートを検出する。

「興味深いのは、制御された方法でナノプレートレットの成長を本質的に停止できることを発見したこと。つまり、LHPフィルムの量子ウェルのサイズと分布を本質的に調整できることだ。また、量子井戸のサイズと配置を制御することで、優れたエネルギーカスケードを実現できる。つまり、レーザやLEDアプリケーションの目的で電荷とエネルギーを非常に効率的かつ高速に流すことができる」(Aram Amassian)。

研究チームは、ナノプレートレットがLHPのペロブスカイト層の形成に非常に重要な役割を果たしていることを発見したとき、ナノプレートレットを使用して、太陽電池やその他の太陽光発電技術で光を電気に変換するために使用されるペロブスカイトなど、他のペロブスカイト材料の構造と特性を操作できるかどうかを調べることにした。

「ナノプレートレットは他のペロブスカイト材料でも同様の役割を果たしており、これらの材料を設計して目的の構造を強化し、光起電力性能と安定性を向上させることができることがわかった」と、論文の共著者であり、NC StateのALCOA化学および生体分子工学教授、Milad Abolhasaniはコメントしている。