Science/Research 詳細

超高速レーザアブレーションの記録的な効率を達成

October, 11, 2024, Washington--ドイツの研究グループは、より高い周波数のパルスを使用する技術により、超高速レーザ材料アブレーションの効率を前例のないレベルに達成した。この進歩により、微細加工や半導体製造などのアプリケーションで、より少ないエネルギーを使用し、より多くの材料を除去できるようになる。

トルコのビルケント大学(Bilkent Üniversitesi)とドイツのRuhr-Universität BochumのPaul Repgenは、2024年10月20~24日まで大阪で開催されるOptica Laser Congress and Exhibitionでこの研究を発表する。

「アブレーション冷却による材料除去は、フェムト秒処理の高精度とナノ秒処理の高効率を兼ね備えている。これは、歯科手術などの用途で非常に興味深いものである。われわれのレーザは、機械式ドリルと同様の効率を達成するが、材料除去に選択的であり、振動をほとんど省略できるため、痛みを抑えることができる」とRepgenは説明している。

超高速レーザアブレーションは、極短パルスを使用して材料を瞬時に蒸発させ、周囲への熱損傷を最小限に抑えることにより、ほぼすべての材料を正確に除去する。しかし、この超高速シングルパルス材料アブレーションは、光の吸収が限られており、大きな深度を達成するために非常に高いレーザ出力が必要になるため、通常、プロセス効率が低くなる。

効率を向上させるために、研究グループは、イッテルビウムをドープしたファイバレーザシステムのパルス繰り返し周波数を50GHz以上に増やすと同時に、パルスエネルギーを削減した。これにより、プロセスはアブレーション冷却超高速除去レジームで行われ、追加のパルスごとに少量の材料が除去され、アブレーションの深さはパルス数に比例して増加する。

研究グループは、標準的なファイバ発振器からの100MHzの繰り返し周波数のシードパルスから始めて、一連の9つの非対称ファイバベースのマッハツェンダ干渉計(MZI)を使用して、各ステップでパルスのコピーを遅らせた。これにより、50 GHzパルスの連続列が作成され、音響光学変調器がパルスのグループまたはバーストを拾い上げ、その後増幅および圧縮された。最終的に、これにより、持続時間が100fs未満、エネルギーが20nJ未満のパルスが利用可能になった。これは、レーザ材料の除去に必要と考えられる数桁低い数値である。

研究グループは、100fsのパルスと80nsのバースト持続時間、84µJのバーストエネルギーと20nJの個別パルスエネルギーを使用して、最大5.2 ± 0.8 mm³/(W・min)という記録的な効率でシリコンをアブレーションした。これは、従来のシングルパルス処理よりも10倍効果的で、3.4GHzの繰り返し周波数を使用した以前に報告された結果よりも6倍効率的である。

「高い除去効率に加えて、われわれはすでに空気中の音速を超える材料除去速度に達している。将来的には、超音速領域にさらに踏み込んで、物質除去の速度に物理的な限界があるかどうかを調査したいと考えている。現時点では、材料内の音速に制限があると予想しており、このマークを達成できれば素晴らしいことだ」とRepgenはコメントしている。