September, 25, 2024, 東京--慶應義塾大学、東京大学、大阪大学、古河電気工業株式会社を含む5機関で共同研究を実施し、高度自動運転に必要となる次世代の車載ネットワークアーキテクチャであるセントラル&ゾーン方式に対応し、高信頼、低伝送遅延の車載光ネットワーク「SiPhON:Silicon Photonics-based in-vehicle Optical Network」のコンセプト実証研究を行い、50Gb/sのデータ伝送システムのデモンストレーションを行う成果を得た。
SiPhONは、50Gb/sの伝送容量を持つデータ伝送用ネットワーク(D-plane)と制御信号伝送用ネットワーク(C-plane)からなる物理層を備え、伝送路と光源の二重化による冗長性を有し、シリコンフォトニクス技術を利用して低コストに高信頼性を得る構成である。マスター装置から送信された光は、各ゲートウェイ装置で透過、受信、あるいは、変調して出力され、再び、マスター装置に帰還して受信される。電気回路部では誤り訂正処理やリンク確立などに向けた制御信号やプロトコル、上位Layerとのインタフェースが実装される。セントラルECUとゾーンECUは、Ethernetに対応したインタフェースを有し、ECU間の伝送容量を可変して、柔軟なトラフィック制御が可能。SiPhONの構成によるシステム信頼性は高く、100Gb/sの容量においてMTTF(Mean Time To Failure )が50年以上になる。新規開発の光ファイバと電源線の一括配線を適用することにより、シンプルな配索を可能としながら伝送速度50Gb/s以上の高速通信に対応し、100Gb/s以上の容量に拡張可能である。
車載ネットワークを模擬したデモンストレーションシステムの構築。
マスター装置と4台のゲートウェイ装置間で2台の4Kカメラの映像信号(各10Gb/s)と周辺監視レーダおよびLidarの低速データを同時に伝送し、低遅延なエラーフリー伝送を実証した。4Kカメラで取得された情報は、SiPhONを介して画像処理装置に伝送され、物体・交通標識を認識した結果がリアルタイムで表示される。
デモンストレーションシステムには、この研究で開発された、シリコンフォトニクス素子、光ファイバ・電源線一括配索ハーネス(FASPULS:Flexible Automotive Signal and Power Unified Line System)が搭載されている。
(詳細は、https://www.furukawa.co.jp)