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独自のメタサーフェスでテラヘルツ光渦を生成

September, 17, 2024, 東京/弘前--東京農工大学と弘前大学の共同研究チームは、独自のメタサーフェスによるテラヘルツ光渦生成素子を実証した。
現在進めているメタサーフェスのテラヘルツCW光源アレーへの搭載指針の構築に向けた研究の一環として推進された。テラヘルツ波分野で最大級の国際会議の基調講演(Keynote Speech)に選ばれ、安川昂秀が発表した。

テラヘルツ波を利用した通信は、次世代の 6G通信や7G通信での使用が大きく期待されている。共同研究チームは、アレー化されたテラヘルツ連続発振(CW)光源にメタサーフェスによる光学素子を搭載し、テラヘルツ通信で使用していくための指針の構築を進めている。テラヘルツCW光源としては、共鳴トンネルダイオード(RTD)や量子カスケードレーザ(QCL)などを想定している。これまでに光源1個+アンテナ1個、光源1個+アンテナ1個+円偏波生成素子1個などを実証してきている。今回の国際会議での基調講演(Keynote Speech)では、光源アレー+アンテナアレー+光渦生成素子アレーの構想の進捗を発表するとともに、まずは平面波を光渦に変換する光渦生成素子1個を実証した。研究チームが実証したメタサーフェスによる平面状で薄型の光渦生成素子をアレー化して、テラヘルツCW光源アレーに搭載することで、様々な光渦を生成でき、次世代の6G通信や7G通信の大容量化に大きく貢献できる。
作製した光渦生成素子は厚さ264µm。厚さ50µmのシクロオレフィンポリマフィルムの表と裏の両面に対称に銅のワイヤーを配置したメタサーフェスを、接着シートを用いて4枚積層することで実現した。作製した光渦生成素子に平面波を入射すると、光渦特有のドーナツ状の電界強度分布を持つテラヘルツ波へと変換されることを実験で確認した。

研究チーム
東京農工大学大学院の安川昂秀(修士課程2年)、山森駿司(研究当時、修士課程在籍)、鈴木健仁准教授(工学研究院、JST創発研究者)、弘前大学大学院の朝田晴美助教(理工学研究科)